パンデミックからの経済回復、カギとなるのは恐怖心の克服

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とはいえ、経済活動の足かせになっているのは法的規制だけではない。米国に住む人々は特にそうだが、私たちは恐怖心を抱いており、それが経済活動に大幅な歯止めをかけている。実際、ウイルスに対する恐怖は、国が行ったロックダウンよりも、経済の低迷により大きな影響を与えているとする証拠が増えつつあるのだ。

旅行する人も限られている。ひとつには一部の州が、感染が増加している他州からの訪問者たちに自主隔離期間を義務付けていることがある。それに加えて人々が、飛行機に何時間も乗ったり、ホテルに滞在したり、見知らぬ人と交流したりしたくないと考えられていることも理由だ。

こうした恐怖心を理解したいなら、米国の有名大手企業をみればいい。教育界では、プリンストン大学やハーバード大学などが、9月以降も授業を完全、あるいはほぼ完全にオンラインにすることを発表している。こうした決定の根拠となっているのは州の規制ではなく、あくまでも内部の判断だ。コーネル大学などほかの学校は、対面授業を再開する予定だが、完全に元通りになるわけではない。

恐怖心が消えないこうした状況がもたらす経済的な影響は、売上や商業データとしてすぐに測定できるものではないかもしれない。しかし、ガソリン消費量にはすでに表れており、消費は増えたものの、通常の夏のレベルには遠く及ばず、依然として低い状態が続いている。

プロバスケットボールのNBAは2020年3月にシーズンが中断されたが、7月末に再開し、その後プレーオフに入る予定だ。リーグ戦の試合はすべて、事実上の「バブル」内、つまりフロリダ州オーランドにあるディズニーワールド内で行われる。試合、練習、生活すべてがディズニーワールド内で完結し、その「バブル」の中に入れるのは新型コロナウイルスの検査を受けた人だけだ。

NBAの試合がフロリダ州で行われるのは理解できる。NBAチームが普段試合を行っている州のなかには、観客が大勢集まる大規模スポーツイベントが禁止されているところがあるからだ。フロリダ州では、ほとんどのビジネスが再開されている。ただしNBAは、試合の観戦者数を厳しく制限することを決定した。

私たちがウイルスに対する恐怖心を克服するまでには、まだまだ長い時間がかかる。それは、経済が完全に回復するまでの道のりはとても長いということだ。恐怖心を克服したあとは、被った経済的打撃を立て直していかなくてはならない。私たちは回復までの3段階のなかで、ようやく第2段階に差しかかったにすぎないのだ。

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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