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2020.07.19

中国から世界を目指すフィギュアメーカー「POP MART」の拡大戦略

Hu Siyuan / Shutterstock.com

中国では近年、「盲盒」と呼ばれるカプセル入りの玩具が大ブームとなっている。北京本拠のスタートアップ企業「POP MART」は、約8ドルのカプセル入りのフィギュアを販売し、ここ数年で売上を急拡大させた。

POP MARTの創業者で現在33歳のワン・ニン(王寧)は同社をIPOさせ、海外進出を図ろうとしている。ワンはフィギュアが並ぶ北京のオフィスで「これが今の中国の若い世代のトレンドなんだ」と話した。

同社のフィギュアの販売手法は「ブラインドボックス」と呼ばれ、カプセルを開けるまで何が入っているか分からないワクワク感が人気の要因となっている。

POP MARTは独自開発したウサギに似たキャラクターや、エイリアン風のフィギュアなどを販売し、昨年は約2億4000万ドル(約257億円)の売上を記録した。創業10年の同社は黒字化を達成しており、直近の純利益は6300万ドルに及んでいる。

今年5月の資金調達ラウンドで1億ドルを調達した同社の企業価値は25億ドルとされ、香港市場への上場手続きを進めている。

POP MARTの資金調達を主導した投資銀行チャイナ・ルネッサンスのLisa Yuanは「POP MARTはエンタメとポップカルチャー分野のグローバルリーダーになろうとしている」と話す。同社は今後、自社のIPを映画業界や玩具メーカーらに提供していく計画だ。

フォーブスは、POP MARTの株式の56%を保有するワンの保有資産を12億ドルと試算している。

鄭州大学で広告ビジネスを学んだワンは、2009年に中国版ツイッターと呼ばれるウェイボーの運営元の新浪(SINA)に就職した。そして、香港に旅行中に立ち寄った雑貨チェーン店「LOG-ON」で起業を思い立ち、1年ほどで退職して自分のビジネスを立ち上げた。

LOG-ONは多様な玩具や、化粧品、文房具などを販売する店だが、類似した店を中国本土でも展開可能だと考えたのだ。そして、2010年に北京のテック企業の集積地として知られる中関村の近くのショッピングモールに最初のストアをオープンした。
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編集=上田裕資

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