キャリア・教育

2020.08.02 17:00

「世界のオゾネ」が妻、そして27万7000人と起こした奇跡


「これまで私たちは劇場で演じることも、またそれを観に行くことも当たり前にできることだと思っていました。でも、それが違うということが今回よくわかった。同時に、演じる者と観客がお互いに必要としていることも。まるで空気のような存在になっていた恋人や夫婦が、あるとき互いの存在価値にあらためて気づいて、大事に思うのと同じ(笑)そういうふたりって、そのあと絆が深まり、関係がよくなりますよね」(三鈴氏)

まさに「雨降って地固まる」。お互いが意見し合いながら高めていく。そんな“共犯”関係だ。

「観客の方たちは『よし、これからは自分たちで劇場を育ててやろう』『このアーティスト、次が楽しみ』『今日はあんまりよくなかったけど、次回に期待しよう』などと思うようになるでしょう。その代わり、つまらないものをやっていたら意見もするし。

アーティストは、観客が自分たちを愛して来訪していることを信じ、安心して最大限のものを出せばいい、もちろん厳しい切磋琢磨をしながら……」(三鈴氏)

「観客の目がシビアになると、実は僕らにとっては厳しくなってくるんですよ。『有名な人が弾いているから、とにかくすばらしいです!』では終わらないから。それに、一回弾いて終わりではなく、聴き手の方とともにずっと劇場をつくり上げ、盛り上げていくという責任も加わってきますしね」(小曽根氏)

観客がアーティストを育て、アーティストがそれに応える。一体感を味わう新しい音楽の楽しみ方がここにある。

(参考サイト:小曽根真 公式神野三鈴 公式

文=柴田恵理 撮影=小田駿一 編集=石井節子

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