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大都 代表取締役 山田岳人

創業10年以上、売り上げ100億円未満の価値ある企業を発掘するForbes JAPANの「スモール・ジャイアンツ」プロジェクト。新型コロナウイルスの影響で厳しい経営環境が続いているが、日本を代表する「小さな巨人」たちはこの危機に屈することなく底力を発揮している。2018年の第一回アワードでセカンド・ローンチ賞を受賞した大阪市の大都は商機を掴み飛躍した。


「今年3月から6月にかけて過去最高業績を記録しています。ゴールデンウィーク期間の売り上げは昨対比で2.5倍に増えましたよ」

コロナショックで多くの経営者が苦境にあえぐなか、工具ネット通販を手がける大都の代表取締役、山田岳人は軽快な口調で語る。全国的にステイホームが推奨されたことで、生活環境の改善を図る家庭が増加。DIYに目をつけた一般消費者が、大都のECサイトに殺到したのだ。

巣ごもり需要でDIY用品のECが伸びたと理解するのは容易いが、重要なポイントを見逃してはならない。それは、大都にとって今回の躍進が「棚から牡丹餅」の出来事ではないということだ。

そもそも大都はECを祖業とする会社ではない。山田が事業承継を前提に入社した1998年、同社はホームセンターを主な取引先とする工具専門の問屋だった。将来性に限界を感じた山田は2002年、当時業界ではタブー視されていた直接販売をECで開始。その後、社員の総入れ替え、問屋業の廃業などの痛みを乗り越え、現在は取り扱いメーカー6000社のサイトに成長させた。

新たな流通モデルの構築に加え、DIY市場の掘り起こしにも努めてきた。工具の使い方から教える体験型ショップを運営するほか、DIYのワークショップやフェス、メディアも展開。19年秋にはECサイトをバージョンアップして、ユーザーがイメージするシーンから必要な工具やパーツをドリルダウン式で探せるようにした。

大都の顧客の大半は、住宅施工業者などのプロだ。しかし、将来の需要を見越して、新たにDIYに興味や関心を持った消費者に役立つ仕組みを準備してきたからこそ、この外出自粛期間に大勢の顧客を獲得できた。その意味で、今回の躍進は「必然の産物」といえないだろうか。山田は語る。

「大きな波に乗るためには、波が起きたときに、沖にいなければならないんです」


やまだ・たかひと◎1969年、石川県生まれ。リクルートフロムエー(現リクルート)を経て98年、結婚を機に義父が経営する大都に入社。2002年にEC事業を立ち上げ、11年に代表取締役に就任。「SMALL GIANTS AWARD 2018」でセカンド・ローンチ賞を受賞。

今年も開催決定!
「Forbes JAPAN SMALL GIANTS AWARD 2021」特設ページ>>

眞鍋 武=文 佐々木 康=写真

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