妊婦の新型コロナが胎児にうつる可能性、仏の研究者が指摘

Siqui Sanchez/Getty Images

妊娠最終期の3カ月間に新型コロナウイルスに感染した女性の胎盤から、子宮内の胎児にウイルスが広がり、出産後の乳児に神経学的合併症の症状が見られたという論文が7月14日、学術ジャーナルのNature Communicationsに掲載された。

論文を執筆したフランスの研究チームは、女性の胎盤に新型コロナウイルスに起因する炎症が見られ、母体や乳児の血液内よりも多くの活発なウイルスが含まれていたことから、ウイルスが胎盤を通過して子宮内の胎児にうつったものと推定した。

その母親は今年3月に激しい咳や発熱に襲われており、帝王切開によって生まれた男児が、検査でウイルスの陽性反応を示していた。乳児は生後3日目に興奮や筋痙攣などの突発性症状を示し、11日後に脳内の白質損傷が確認されていた。

その後は徐々に回復し、乳児は生後18日目で退院した。さらに、その2カ月後には乳児が回復を続け、神経細胞の損傷が軽減したことが確認できたという。

「出産前後の母体から、胎児にウイルスがうつったと考えられる事例は他にも報告されているが、まだ解明できていない問題もある」と研究者らは述べている。「新生児のウイルス感染が確認できないケースや、特定の抗体の存在のみが確認された事例もある。さらに、新生児のサンプルからウイルスが検出されたが、感染ルートが胎盤や羊水であると特定できない場合もあった」

アメリカ疾病予防管理センター(CDC)が6月下旬に公開したレポートでは、妊婦が新型コロナウイルスに感染した場合、重症化のリスクが高いことが示されていた。

新型コロナウイルスに感染した場合、長期的にどのような影響が及ぶかはまだ未解明だが、症状が残り続ける場合もある模様だ。さらに、スペインで実施された調査によると、入院治療を受けた患者の大多数が、頭痛やめまい、意識障害などの神経学的合併症を発症していた。

編集=上田裕資

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