今回の調達はAlkeon Capitalが主導し、AccelやCoatue、Dragoneer、IVP、Madrona Venture Group、セコイアキャピタル、テンセント、タイガーグローバル、Wellingtonらも参加した。また、アドバイザリー役をティー・ロウ・プライスが務めた。
2018年のフォーブスの「Cloud100」に選出された同社は、昨年4月に5億7000万ドルの資金調達を実施し、共同創業者でCEOのダニエル・ディネスはビリオネアの仲間入りを果たしていた。
UiPathの累計調達額は、今回のシリーズEの完了により12億ドルに達している。
「厳しい時代の中で、これほどの高い評価を得て資金を調達できたことは非常に誇らしい」とディネスは述べた。「新たな資金でエンジニアリング分野への投資を活発化させ、高度なオートメーション化の実現に必要なM&Aの検討も行っていく」と彼は続けた。
UiPathは外部の企業に高度なオートメーション化のプラットフォームと、自動化プロセスのRPAを組み合わせて提供している。同社のソフトウェアロボットは、これまで人間が行ってきたデータの移行や管理を自動化する。
RPA分野には新規の参入が相次いでおり、2018年末にはSAPがフランスのContextorを買収したのに続き、今年5月にはマイクロソフトが英国とギリシャに拠点を置くSoftomotovieを傘下に収めた。さらに、IBMも先週、ブラジルのRPAプロバイダであるWDG Automationの買収をアナウンスした。
しかし、ディネスは大手の動きを脅威とは感じていない模様だ。「RPAはまだ歴史の浅いカテゴリであり、マイクロソフトやIBM、SAPらの参入は良い兆候だと考えている。彼らが加わることによってRPAの導入が、より広い範囲に拡大していく」と彼は続けた。
創業者はマイクロソフト出身
マイクロソフトに勤めたディネスは、今から15年前にルーマニアの首都ブカレストでUiPathを設立し、過去数年で売上を急拡大させた。2017年の同社の売上は500万ドル程度だったが、2018年には1億5500万ドルに成長し、昨年は3億ドルまで膨らんだ。さらに、2020年の売上も対前年比で二桁台後半の成長を見込んでいる。
欧州で最初のSaaS分野のデカコーン(評価額100億ドル以上のスタートアップ)となったUiPathは約2900人を雇用しており、ニューヨークとブカレストでそれぞれ800人が勤務中だ。残りの社員たちは東京やバンガロールなど、世界約20カ所の拠点に務めている。
AccelでUiPathへの出資を担当したRich Wongは、ベンチャーキャピタルが同社に資金を注ぐ主な理由が2つあると説明した。
「この分野の発展の速度は非常に速く、オートメーション化やデジタルトランスフォーメーション領域への期待値は大きく高まっている」と、Wongは話す。「そんな中で、ダニエルはこの分野で決定的な企業を生み出すためのビジョンと情熱を持っている。彼の会社はグローバルで戦える会社になる」と彼は続けた。