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Fictivの中国オフィス

海外と仕事をする際にはテクノロジーにより簡素化は出来るが、配送など部品を送り届けるロジスティックスはまだまだ困難な要素を残す。そこが大きな壁とならないように、会社として徹底的にそこを滑らかにするための第三者となる配送業者をどう活用すべきか、などのコミュニケーションを図っているという。

日本のような特殊な市場でどうビジネスをしていくべきか。調査をする段階で他業種からも学びが多いとデイブ氏はいう。来日時には、世界中に展開するデザインファーム「IDEO」の東京オフィスも訪問。日本の文化に合わせつつも、シリコンバレーの文化も取り入れる。目指すのは両方を融合した世界観を作り出すことだ。

まだ日本で本格的に事業をスタートという段階までは来ていないが、今後の可能性に向けてその文化を知るための学びは欠かさない。現段階では18カ月ほど前から三井物産株式会社と共に日本市場への展開をリサーチしている。

その理由には、日本が誇る製造業者の数にあるとデイブ氏はいう。

「私も知らなかったのですが、日本の方が米国全土よりも製造業者の数では上回るのです。第2次世界大戦以降の工業から90年代の電化製品など長い歴史を誇り、そのエコシステムが豊富なのです。」

それでも米国の企業にとっては、日本の製造業者と取引をするのには言語などの壁もあり非常に難しい。それをFictiv社は得意とするテクノロジーを活用し、解決策となる役割を目指す。いずれ日本の製造業を活性化することの力になりたいというビジョンも持つ。

オンデマンドの製造業の可能性


近年ビジネスモデルの変革はどの業界でも起こりつつある。

Uberはタクシー会社なのか。Airbnbはホテルなのか。Fictivも機械を所有していないのに、製造業者であるわけがない。そんな声もまだ聞こえてくる。

今は新たな考え方で「言葉の意味」を考えなくてはいけないと、デイブ氏も語る。

「企業家精神を持ち、常に違った視点で物事を捉えなくてはいけない。当たり前を疑い、挑戦していくことが求められると思います」

製造業にオンデマンドの考えを持ち込むという壮大なチャレンジではあるが、その可能性についても語る。



「製造のサイクルを早くして、商品を市場へ届けるスピードを速くする。それを実現させることで企業にとっても在庫を減らすことができます。眠った状態の部品を増やすことなく、必要に応じて生産することが可能となります。自動車産業にとっては1つ1つの部品をレガシーとして残し、使い続けることを実現することもできます。製造業のオンデマンド化は様々な利益を生み出すことに繋がると信じています」

製造業者にとっても、グローバルに展開することによって顧客を増やし利益へと繋げることができる。非効率、古いという製造業に対するイメージを払拭し、次世代により魅力を伝えていく。次なる素晴らしい商品をこの世に生み出すエンジニアを目指したいと思う人たちを増やしていきたいともいう。

新しいベンチャーが世に出てくる際には、分かりやすくするために「製造業の〇〇」など多くのニックネームが付けられる。だが、一番適切なのは製造業のAWS(アマゾンウェブサービス)なのかもしれないとデイブ氏は語る。様々な製造業者がFictivのプラットフォームで成り立ち、人、テクノロジー、パートナーが繋がっていく。だが近い将来、Fictivという名が他業種の会社を例えるのに使われる名となっていくだろう。

Fictivという名が日本へ上陸する日もそう遠くはないのかもしれない。

文=新川諒 写真=Fictiv提供

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