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サプライチェーンが機能しないと、この新型コロナウイルスと付き合っていく世の中では人の命に関わってくる場合もある。個人用保護具を必要な人へ届けるためにはデジタルを活用していくことでスピード感を出す。これは、誰しもが辿り着いた答えだった。

多くのメーカーは3Dプリントにより、フェイスシールドを生産していた。だがその工程では、1日の生産量は限られたものになっていた。だがFictivのエコシステムの中では担い手となる技術者そして工場も豊富にあるということを確認できた。



すでにネットワークを構築していたため、このアイデアを10日間で実現させ、一日当たりの生産能力1万個以上の医療用フェイスシールドを生み出すことに成功。顧客、製造業者、Fictivが一致団結し、デザインから承認までのプロセスを作り出した。そして三井物産株式会社とも連携することで利益は全く度外視で日本の医療従事者へも届けることを可能にしたのだ。

医療用フェイスシールドでの利益は全くなかったが、それでもFictiv社にとってこの第一四半期は創設以来最も良い業績を残すこととなった。それこそが「製造業のニーズがデジタルな世の中を求めている証明にもなったのではないか」とデイブ氏は振り返る。

まだまだ日常に戻るには時間が掛かるが、今後に向けて「地理的にも強靭な仕組み作り」の必要性があるという。「一つの国で完結するのではなく、複数箇所で商品を生み出すシステムを構築する考え。何が起こるか分からない世の中では求められる構想になってくるのではないか」とデイブ氏は予測する。



だが製造業者は「新たなテクノロジーを嫌う」という事実はまだまだ残っている。それでも全ての製造業者が所有しているものがある。それがスマートフォンだ。すでに誰もが親しみを持っているスマホ内でのアプリ対応にすることで採用へのハードルを下げた。「新型コロナウイルスが落ち着いた時にはもう以前までのやり方に戻るのは難しいと目が覚めるのではないか」と、デイブ氏は今後のデジタル化への加速を願っているという。

日本の製造業は世界で類を見ない素晴らしさ


デイブ氏は仕事以外での機会も含め、すでに10度以上来日している。

「日本の製造業は世界においても誰にも負けない魅力を誇っています。いくつかの工場を訪問した際に、室温、湿度が管理されていて土足厳禁も徹底。これまで多くの工場を世界中で訪問していますが、これだけ高い質を誇っているのは日本が初めてでした」とその質を高く評価する。

まずは米国国内でのみスタートさせた事業だったが、3年前から中国へも本格的に展開。そして今ではインド、台湾にも市場を拡大している。中国では社員のほとんどに中国人を採用。「私達が他国でビジネスをしていく上で大事だと思っているのはアメリカ人としてビジネスをするのではなく、その文化に合わせていくこと」とデイブ氏はローカライズの重要性も理解している。

文=新川諒 写真=Fictiv提供

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