コロナ感染防止のための行動指針、すべてに従うのが困難な理由

Al Bello/Getty Images

一般的で、漠然としたアドバイスをするのは簡単だ。だが、人それぞれの生活に合った具体的な助言をするのは非常に難しいこと。そのためあまり行われていない。新型コロナウイルスのパンデミックが続くなか、問題の一つとなっているのがこの点だ。

感染予防のためのガイドラインに示されている「取るべき行動」が具体的ではないことが、それらに従うことを困難にしている。そのいい例として挙げられるのが、次の10の行動だ。

1. 外出を控える


別荘がいくつもあるような人なら、外出せず、ほかの人と接触しないようにすることはそれほど難しくないかもしれない。だが、一人きりになれるのはトイレの中だけというような環境で暮らしている人にとっては、外出しないことの意味がまったく異なる。

2. 感染したら自主隔離する


米疾病対策センター(CDC)の所長代行を務めていたロバート・ウッド・ジョンソン財団のリチャード・ベッサー最高経営責任者(CEO)は、「高齢者の多くにとっては、自主隔離はリスクが高いかもしれない」と指摘する。一方で、何世代もが一緒に暮らす世帯では、隔離そのものが難しい場合もある。

3. 仕事を休む


多くの人たち、特に社会の機能を維持するために必要不可欠な仕事に従事する人たちは、出勤しなくてはならない。それは、収入を得るために欠かせないことでもある。

米政府はパンデミックの影響を受けた人たちを対象に現金給付を行ったが、大半の人にとって十分とはいえないその給付が速やかに行われなかったことで、多くの人には仕事を休むという選択肢が与えられなかった。

4. 出勤も可能


経済活動の再開は、多くの人を危険にさらしたともいえる。ベッサーCEOも指摘していることだが、「多くの人、特に給料ぎりぎりの生活をしている人は、収入と安全のどちらかを選ばざるを得ない」。

職場が予防のための適切な対策を講じていなかったり、安全を保つためのリソースを提供していなかったりする場合、従業員たちはどうなるだろうか。

5. 子供たちは自宅学習とする


子育て中の人たちは、精神的に少し圧倒されているかもしれない。学校は教育だけではなく、食事、感情的・社会的なサポート、その他のサービスも提供している。これらのすべてを子供に与える時間やリソースが親の側にない場合、どうすればいいだろうか。
次ページ > その他4つの対策は?

編集=木内涼子

ForbesBrandVoice

人気記事