そしてグーグルが7月13日、今後の5~7年でインドに約100億ドル(約1兆円)を投資し、現地企業への出資やインターネット関連のインフラ整備を行うと宣言した。
グーグルのスンダー・ピチャイCEOは声明で、「私が若い頃、テクノロジーが新たな機会をもたらし、学ぶチャンスを与えてくれると信じたが、最新の技術がインドにやってくるまで待たねばならなかった。しかし、現代のインドの人々は新たなテクノロジーを待つ必要が無い。全ての新世代のテクノロジーは、まずインドから始まるからだ」と述べた。
グーグルはインドの4つの領域に100億ドルを注ぐと宣言した。下記にそのエリアを列挙してみよう。
1. ローカライゼーション:インドには23以上の憲法で認められた言語が存在するが、グーグルは全てのインド人たちに彼らの言語で、情報にアクセスすることを可能にする。
2. グーグルとアルファベットのプロダクト及びサービスを、インド市場向けに構築する。
3. デジタルトランスフォーメーション:インド企業のビジネスを、デジタルファーストに進化させる。
4. ソーシャルグッド:テクノロジーやAI(人工知能)を社会を前向きに変える分野で活用し、ヘルス領域や教育、農業分野の発展を促進する。
人口の規模において世界には2つの超大国が存在する。中国とインドだ。世界人口の18%を占める中国の人口は約14億人で世界1位だが、インドの人口もそれをわずかに下回る13億6000万人というスケールで、まだ拡大が続いている。
グーグルやフェイスブック、アップル、アマゾン、マイクロソフトなどの大手にとって、インドは中国よりもオープンな点が魅力的だ。中国は長年、国内のテクノロジー企業の発展を促進し、競合となる西側企業の進出を拒んできたが、新型コロナウイルスのパンデミックや、米中の緊張の高まりを受けて、米国企業と中国との溝はさらに深まりつつある。
しかし、インドは一定の制限を設けた上で、テクノロジー面での植民地化を避けつつ、西側の企業を受け入れようとしている。
中国を牽制する狙いも
アップルはその流れを受けてインドで現地生産を開始し、同社の主要な製造委託先のフォックスコンも先日、10億ドルをインドの工場の拡大に投資した。インドは海外で製造された製品に高い関税を課しており、現地生産を行うことは理にかなっている。
巨大な人口を抱えるインドは、テクノロジー企業にとって非常に重要なポテンシャルを秘めている。グーグルのピチャイCEOは次のように述べた。
「今や、2600万社のインドの中小企業がグーグル上で検索可能になっており、月間で1億5000万人以上のつながりを促進している。デジタル決済の導入を開始するマーチャントたちも急増している」
しかし、インドのインターネットはまだ発展途上だ。「インドのインターネットを誰もが利用できる価格にするためには、多くの課題を克服しなければならない。多様な言語に合わせて音声認識やコンピューティングを進化させ、新世代の起業家たちを支援していきたい」とピチャイは述べた。
グーグルは今後、インドの発展における重要な役割を担うことになりそうだ。同社の動きは中国に対し、現在の政策がビジネスに与える影響を自覚させることにもつながるだろう。