ビジネス

2020.07.15 07:30

Spotifyは「ポッドキャストのYouTube」になれるか?

ここ数カ月の間に、Spotifyはジョー・ローガン(Joe Rogan)とキム・カーダシアン(Kim Kardashian)の両方とポッドキャスト番組の独占契約を結んだことを発表しました。前者との契約は100億円以上に及ぶとも言われていて、後者の契約の金額面については公表されていませんが、おそらく高額です。
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このブログを読んでいる日本の読者からしてみれば、何が何だかさっぱりわからないかもしれません。ジョー・ローガンって誰?キム・カーダシアンって、あの有名なソーシャルメディア・インフルエンサーのこと?ポッドキャストを聴いている人なんて実際にいるのか、と思う人も多いでしょう。これには以下の背景があります。

ローガンの「ジョー・ローガン・エクスペリエンス(The Joe Rogan Experience)」という番組は、世界のポッドキャスト・チャートで常に上位にランクインしていて、毎月2億回近くダウンロードされています。イーロン・マスクが番組内で大麻を吸って炎上したニュースで覚えている方もいるかもしれませんが、その番組こそが「ジョー・ローガン・エクスペリエンス」です。ローガンと契約して、彼のポッドキャストをSpotifyで独占配信し始めるということは、彼の全フォロワーも必然的についてくるということです。

キム・カーダシアンは、パリス・ヒルトンのアシスタントだったこともあり、先に有名になったこのホテル経営者と同様に、「有名だから有名になった」ような人で、インスタグラムで1億7700万人のフォロワーがいます。内容について私自身は全く知りませんが、「カーダシアン家のお騒がせセレブライフ」という番組を配信しています。
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今回の件は要するに、Spotifyが独占的なコンテンツを対象としたビジネスに明らかに移行しようとしていて、中でもポッドキャストに注力しているということです。この戦略がなぜ彼らにとって重要なのかを考察することで、様々な興味深い点が見えてきます。

参考になる事例として、Netflixを見てみましょう。Netflixはここ20年で最も機敏で先見の明がある企業の1つといっていいでしょう。インターネットの利活用と物流インフラの融合により、DVDを郵便で効率的に配達するというビジネスチャンスが生まれたタイミングでNetflixは誕生しました。その後、ブロードバンドの速度が動画を配信できるくらい速くなったとみたら、それまでのビジネスを全面的に見直し、今度はインターネットでの配信を始めました。

そして、DisneyやHBOなどのコンテンツ・クリエイターが、Netflixは視聴者と自分たちの間に立つ門番のような存在になりつつあると気づいた頃には、Netflixは何千億円も投資して独自コンテンツの制作を始めていました。まさに驚異的なスピードで進化してきたのです。
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文=James Riney

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