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2020.07.31

数十兆円市場へ!次世代ヘルスケアを実現するエコシステムが胎動

超高齢社会に突入している日本で、ヘルスケアは飛躍的な成長が予想される数少ない分野のひとつだ。しかも、ヘルスケア分野はパラダイム・シフトの真っ只中にある。ゲノム医療や低侵襲治療などライフサイエンス技術の進化により、ヘルスケアのもたらす価値が、従来の「治療」から予防を含む健康管理による「健康寿命の延伸」へとシフトしつつあるからだ。

こうした状況下でカギとなるのが、データの利活用であることは間違いない。しかし、厚生労働省の調べ(※)によれば、2017年の電子カルテ普及率は一般病院が46.7%、一般診療所に至っては41.6%にとどまっている。まさに医療界全体のDXの推進が急務となっているいま、セールスフォース・ドットコムを始めとする複数の企業が、「次世代ヘルスケア実現のエコシステム構築」への取り組みを開始した。企業の枠を超えて豊かな社会の創出に挑むダイナミックな軌跡を紹介する。

※厚生労働省「平成29年 医療施設調査」より
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/johoka/index.html


次世代ヘルスケアのキーワードは「データ」


日本のヘルスケアを考えるとき、避けて通れないのが医療費の問題だ。高齢化が進むとともに増加の一途をたどっている。セールスフォース・ドットコムとともに「医療の未来」を調査してきたデロイト トーマツ コンサルティングの執行役員、西上慎司増井慶太は、「医療の効率化が政府主導で進んでいる」と現状を分析する。

「日本の社会保障財政は、給付費と保険料収入のギャップ拡大の中で深刻な状況にあります。医療費を抑制するため、薬価算定に費用対効果の考えを取り入れたり、予防の推進、不要な治療の削減といった効率性の追求がなされています。それに伴い、医療従事者の目線で安全性やコストを評価する従来の考え方から、患者にとっての価値基準を重視する『バリュー・ベースド・ヘルスケア(価値に基づく医療)』という考え方への移行が進みつつあります」(西上)

そうなると、必然的に重要となってくるのが患者のデータだ。

「医療の世界がエビデンスを重視するのは昔からのことですが、カルテに記載される検査や投薬に関するデータだけでなく、日々の行動に伴うデータも求められるようになります。むしろ、データがヘルスケアの主役になっていくでしょう。そして、あらゆるヘルスケアデータがつながることで、医療・健康サービスは高水準で個別化され、患者が自ら手軽に利用できるようになるはずです」(増井)

巨大な新ヘルスケア市場が生まれる可能性


これがいかに革命的な変化であるかは、いままでどのように医療サービスを受けてきたかを考えればすぐに理解できるだろう。何度も電話をかけ、待合室で長時間待ち、医師に症状を説明し……。薬を受け取るには、さらに薬局へ移動をして、同じように長時間待たされなくてはならなかった。それが、まるでECサイトで買い物をするような感覚に変わるわけだ。

「これを実現するには、患者のデータを収集・解析できるプラットフォームの整備が不可欠ですし、病院だけでなく製薬会社や医療機器メーカー、保険会社などが連携した循環型エコシステムの形成が必要です」(増井)

半数以上の医療機関で電子カルテが導入されていない現状を踏まえると、そこまでの道のりは険しく思える。しかし、ネットショッピングが定着するまでのスピードを振り返れば、実現はそう遠くないと言えるだろう。

「近年のテクノロジーの進化を踏まえると、『創造的破壊が加速する』と考えています。実際、米FDAなどの規制当局は、最前線のイノベーションがもたらす加速度的変化への対応に奔走しています」(西上)



「いままでも、病院や製薬会社、医療機器メーカー、保険会社は市場を拡大してきました。3年後の2023年には、これらの市場は今年の倍以上となる5,000億円規模に拡大すると当社は試算しています。しかし、患者データプラットフォームをベースにした循環型エコサイクルが形成されれば、爆発的な規模で新たなヘルスケア市場が生まれる可能性があります。当社では、17兆円規模の対象市場が形成されるものと見ています」(増井)

衝撃的な予測だが、もちろんこれは“やがてやってくるマーケット”ではなく、特定の企業が取り組める規模でもない。西上も増井も、産官学が協業することで初めて創出可能だと口を揃える。

金融業界と同様の変革がヘルスケア業界にも


ちなみにセールスフォース・ドットコムは、患者、データ、プロセスをつなげ、一人ひとりの患者を包括的な視点で見ることができるプラットフォームをすでに開発している。それが15年に米国で提供開始され、すでにグローバルで多くの採用実績がある「Salesforce Health Cloud」である。同社の執行役員金融・ヘルスケア業界担当シニアディレクター、佐藤慶一は、開発の背景を次のように明かす。

「当社は以前から、医療業界のご支援をさせていただいておりましたが、医療業界特化型の製品をご提供してはいませんでした。医療関係者の方々にSalesforceを活用いただくには、さまざまなカスタマイズが必要だったのです」

その課題を解決し、患者を中心に医療関係者が連携して能動的かつ継続的に医療サービスや医薬品などを提供するためのソリューションとして「Salesforce Health Cloud」が設計された。主な機能としては、あらゆる患者の情報を一元的に管理できる「患者360°ビュー」、その患者の治療に携わるすべての医療従事者がケアプランを共有できる「ケアプラン・ケアチーム」、そしてそれまで受けた診察、治療、服薬した医薬品を時系列にわかりやすく配置する「タイムライン」の3つが挙げられる。まさに医療関係者がすぐに使えるようにあらかじめ仕立てられた製品だ。

「医療関係者が日々行う業務をすべて同じ画面内で操作できますので、電子カルテを開きながら別のシステムを立ち上げて、といった非効率な動きをする必要がありません。患者や、携わる医療関係者への連絡もスムーズにできますので、一人ひとりの状況を的確に把握しながら、最適な医療サービスを迅速に提供できます」(佐藤)

つまり、患者にとっての価値を最大化するためのプラットフォーム(ペイシェント・サクセス・プラットフォーム)として機能しているのである。表現を変えると「患者を中心としたDXの実現」ということになるだろうか。佐藤は、金融の世界で起きているデジタル・ディスラプションと同様の動きがヘルスケアの世界でも起こると見ているようだ。



「現在、日本ではオンライン診療のニーズが急速に高まっています。時間や場所といった物理的な壁が取り除けることに注目が集まっていますが、実は本質的なニーズは、患者を中心に医療関係者がデジタル上で連携することで、効率的かつ効果的に医療を提供し、患者にとっての医療サービスの価値が高まるというところにあります。金融の世界では、顧客を起点としたサービスの変革がいわゆるフィンテックによって起こり、規制も緩和されましたが、おそらくは医療業界も、患者にとっての価値を重視する流れへと変わっていくのではないでしょうか」(佐藤)

その結果、これまでは医療提供者・患者双方にとって受動的だったヘルスケアや医療サービスが、能動的な存在へと変わる。もっといえば、医療・健康データを医療関係者が活用して積極的に健康増進のソリューションを提供する動きや、そうした動きを患者側が求めるようになってくるだろう。いま以上に、患者が自ら医療機関およびヘルスケアサービスを選別するのが当たり前になっていく可能性が高い。

「電子カルテやオンライン診療ツールは非常に多くの種類がありますが、個別に最適化されており、逆に言うと他のステークホルダーとの連携が取りにくいケースがあります。その点、『Salesforce Health Cloud』は患者を中心とした医療関係者の連携が設計思想にありますので、規模や業界を問わずに活用いただくことができ、幅広いユースケースに対応できます。おかげさまで、エンドツーエンドでのヘルスケアDXを実現できるという意味では類似製品がないとコンサルティングパートナー企業から評価をいただいています」(佐藤)


佐藤 慶一◎株式会社セールスフォース・ドットコム 執行役員 インダストリーズトランスフォーメーションズ事業本部 金融・ヘルスケア業界担当シニアディレクター

武田薬品工業と神奈川県の革新的なDXプロジェクト


「患者を中心としたDXの実現」。これを具現化するプロジェクトが、武田薬品工業によって進行中だ。19年9月に神奈川県と武田薬品工業が締結した「地域医療の充実及び医療費適正化の推進等に係る連携・協力に関する協定」に基づき、20年5月に発表されたもので、パーキンソン病患者を対象にウェアラブル端末により症状のモニタリングを行い、さらにオンライン診療・服薬指導を通じてパーキンソン病患者さんとご家族をサポートできるかを評価する臨床研究として実施されている。武田薬品工業のエンタープライズデジタル・ジャパンヘッド、大塚勝は、その内容について次のように説明する。

「パーキンソン病には、運動症状と非運動症状があり、それぞれの症状は患者さんの生活の質への影響も大きく、通院の負担は身体的にも経済的にも大きなものがあります。症状の頻度や程度を把握するのが困難という臨床的な課題もあるため、ジャイロセンサーを搭載したウェアラブル端末で常時モニタリングを行い、ご自宅にいながらオンライン診療と服薬指導で疾病管理ができる環境の構築を目指しています。また、パーキンソン病の症状を可視化するソリューションは、日本では初となります」(大塚)

まさに患者を中心としたDXの実現である。セールスフォース・ドットコムは患者データを包括的に管理・分析できるプラットフォームとしてこのプロジェクトに「Salesforce Health Cloud」を提供。国内製薬メーカーにおいては初めての導入となる。セールスフォース・ドットコムのパートナー企業であるデロイト トーマツ コンサルティングも、システム設計・開発で参画している。この座組が実現した背景には何があるのだろうか。

「武田薬品工業は、革新性の高い医薬品を提供して患者に貢献することにコミットしています。また、持続可能性のある医療提供体制の構築をサポートすることも、製薬企業が果たすべき責務のひとつと考えています。世界経済フォーラムが設立した第四次産業革命センターで、ヘルスケアをテーマにセールスフォース・ドットコムさんとさまざまな議論を重ねるなかで、同じビジョンを共有していることがわかり、ともにこのプロジェクトに取り組むことになったのです」(大塚)

両社が共有しているビジョンとは、「デジタルテクノロジーなどを活用し、医療関係者および患者さんにとって最適な医療環境を創出し、患者のQOL向上に貢献する」こと。お互いの目線の高さが同じため齟齬が生じにくく、逆にお互いのスキルセットが異なることから大きなシナジー効果が得られているという。

「この取り組みは、神奈川県との包括協定に基づいていまして、地域医療充実のための次世代ヘルスケア社会システムの構築、つまりこれまで日本になかったヘルスケアへの取り組みを目指すものです。当社を含めて7社が参加していますが、それぞれの強みを生かしていくなかで、今後のモデルケースとなるエコシステムが形成できるのではないかと期待しています」(大塚)

高い志のもとに変革のうねりが生まれる


まだ始まったばかりのこのプロジェクトは、ヘルスケア分野がもつ無限の可能性に着目する企業から、大きな注目を集めているようだ。すでに、いくつもの企業や医療関係者から問い合わせが寄せられているという。それは、「よりよい社会を構築したい」というプロジェクトの底を流れるマインドへの共感であり、明確かつ高い志を軸にした大きなうねりが生まれつつあることを予感させる。

医療サービスやヘルスケア分野で解決するべき課題は多岐にわたり、簡単に解決できるとは言い難い。しかし、さまざまなステークホルダーが、同じ目標のもとそれぞれの強みを発揮しているプロジェクトが次々と動き出すことで、ことで、10年、15年先と見込まれていたパラダイム・シフトが、驚くほど早く訪れる可能性もあるだろう。その確かな胎動が感じられるいま、ヘルスケア分野の動きから目が離せない。


セールスフォース・ドットコム
https://www.salesforce.com/jp/

*1:民間保険の市場はインシュテック市場を試算。出所:https://it.impress.co.jp/articles/-/19468
*2:製薬・医療機器の市場は、モバイルヘルス市場及びRWD市場を試算。前者は、Statista社推計のグローバル規模に日本医薬品市場のグローバルに占める割合をかけて推計、後者はVerified Market Research社推計のグローバル市場に日本医薬品市場のグローバルに占める割合をかけて推計
*3:クラウド型電子カルテ、遠隔診療システム/サービス、遠隔看視/在宅医療向けモニタリングシステム、地域包括ケアシステム/多職種連携システムの合計であり、富士経済2017見込み・2025予測額をベースにデロイト試算
*4:経産省「次世代ヘルスケア産業協議会の今後の方向性について」試算結果。スコープ:ヘルスケア産業全体(公的保険外サービスの産業群であり、4ピラーに関連する市場:健康経営・知・測・運動・食・予防・保険の合計)


Promoted by セールスフォース・ドットコム / text by Hidekazu Takahashi / edit by Akio Takashiro

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