老後資産の形成に向けて、学生時代から何をすればいいか?

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今回は大学生から実際に寄せられた「老後資産の形成に向けて学生時代から何をすればいいか」という質問に答えていこう。

20歳前後の若者が、既に老後のことを考えなくてはいけないということ自体が異常なことのようにも思えるが、やはり、昨年話題となった「老後2000万円問題」が影響しているようだ。

定年時点でいくら必要なのか?


まずは、いまの大学生たちが一般的に何年間の老後生活を送らなければいけないのか、考えてみよう。

現在20歳の大学生が65歳で定年退職し、老後生活を迎えると仮定すると、45年後の2065年の平均寿命で考えるのが適切だろう。国立社会保障・人口問題研究所が発表した「日本の将来推計人口(平成29年推計)」によれば、2065年時点の平均寿命(死亡中位)は男性が84.95歳、女性が91.35歳となっている。

男女で差はあるが、とりあえずここは25年間の老後生活があると仮定しよう。これに基づき、90歳まで老後生活を送ると仮定して、それまでにどのくらいの金額が必要なのか算出してみよう。

生命保険文化センターが発表した「令和元年度生活保障に関する調査」によれば、ゆとりある老後生活を送るのに必要な金額は毎月36.1万円となっている。65歳から90歳までの25年間で考えれば、退職したタイミングで合計1億830万円が必要ということになる。

これだけを見ると、かなりハードルの高い数字に見えるが、総務省統計局が発表した「平成30年家計調査(家計収支編)」によれば、高齢夫婦無職世帯の家計収支のうち社会保障給付が平均で20.4万円となっており、とりあえず年金だけで6120万円はカバーされることになる。

また、人事院が発表した「民間企業の退職金、企業年金および、国家公務員の退職給付金2017年4月度調べ」によれば平均的な退職金は2500万円となっている。

よって、1億830万円から6120万円と2500万円を差し引けば2210万円となり、まさに昨年話題を集めた「老後2000万円問題」に逢着することになるのだ。

しかし、これはあくまで平均値を用いた計算であり、個々人によって経済的な事情は変わってくることはもちろんであり、かつ現在20歳前後の若者が65歳になるタイミングで、これだけの年金と退職金がもらえる可能性は低いと考えられるため、もっと悲観的に考えなければいけないことは追記しておきたい。

少額でも身銭を切って投資を勉強


それでは、老後に備えて早い段階から投資をして、資産形成をしたほうがいいのだろうか。筆者の考えとしては、「その通り」ということになる。

しかし、それは本格的に投資にリソースを割きましょうということではなく、あくまで投資とはどういうものなのか、経済やマーケットについて実感を持って学ぶ機会を得るために、してみましょうということだ。
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文=森永康平

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