老後資産の形成に向けて、学生時代から何をすればいいか?

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国税庁が発表した「平成30年民間給与実態統計調査」によれば、新規学卒者(大学卒)の初任給は男性が月21.0万円、女性が月20.2万円だ。25~29歳の平均給与は年間で370.2万円なので、額面では月額30.8万円ということを考えると、社会人になっても暫くの間は毎月何万円も投資につぎ込むのは難しいだろう。

しかし、最近では100円や500円という少額から投資が始められるようになった。そんな少額で投資をしたって意味ないじゃないかという声も聞こえてきそうだが、実はそれでいいのだ。

前述した通り、何も最初から投資にリソースを大きく割く必要はない。まずは少額でもいいから始めてみて、どんな投資商品があるのか、どうして株価が動くのか、いまの日本経済はどのような状況なのか、それらをじっくりと学んでいけばいい。

知識も経験もないまま急に多額の資産を運用するのは危険だ。将来に備えて、少額であっても身銭をきって投資の勉強をするのだ。

まずは収入を増やす努力を


筆者が学生とこのテーマで話をする際は、投資は少額で始めてみて、本当に投資をすべきは自分自身に対してであると伝えることが多い。

身も蓋もないことを言うようだが、やはりある程度の金額を投じなければ、投資で老後資産を築いていくことは難しい。そう考えると、それなりの金額を投資に充てられるよう、若い頃から収入を増やす努力をしていかないといけない。

収入を増やすにはいくつか方法があるが、最もシンプルなのは給料が高い職に就くことだ。そのためには英語や会計、プログラミングなどのスキルを身に付けることもあるだろうし、人脈を広げる必要もあるだろう。それらを得るためには、それなりの時間もお金もかかるので、若いうちはそちらにリソースを割いたほうが、生涯で見たときの収入は増えると考えられる。

また、収入を増やす他の方法としては、複数の収入源を持つことだ。筆者が社会人になった頃に比べれば、多くのネット企業のおかげで、さまざまなサービスが無料で使えるようになっている。それを活用することで、正社員という安定した立場を維持したままでも、副収入を得ることが可能な時代になった。

平日の夜や週末の空き時間を利用して、自分が会社で働いているときや、寝ている間でもお金が入ってくるような仕組みをつくればよい。もちろん、そのためには、やはりそれなりの自己投資も必要になるし、場合によっては利用するサービスにもいくらかはお金を払う必要もあるだろう。

まとめると、まずはしっかりと稼げるようになることに集中し、投資は少額で経験値を積んでいくというスタンスから始めればいいということだ。投資については、いざ始めるとなると、ついつい意気込んでしまうものだが、まずは無理のない範囲でやってみることをお勧めしたい。

連載:0歳からの「お金の話」
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文=森永康平

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