モバイルゲームと日本酒……一見、遠く離れた存在のようにも思えるが、「アカツキ」CEOである香田哲朗氏はなぜその出資を決めたのか。
「Clear」代表取締役CEOの生駒龍史氏と語るうちに、話題はアフターコロナを見据えた、価値観の変化と消費行動へ。示唆に富んだトークとなった。
最高にうまい「百光―byakko-」との出会い
“100年誇れる1本”をテーマに「SAKE100」がリリースした圧倒的品質の日本酒「百光─byakko─」。20年、日本で開催されたG20関連レセプションでは乾杯酒にも選ばれた。
香田:「百光」を人に紹介されて飲んだとき、自分史上最高にうまいと感動しました。それまでメジャーどころの日本酒しか知らなかったし、日本酒は和食かお鮨にペアリングするものと思っていたけど、「百光」にはそこに収まらないポテンシャルを感じて。翌日には個人で投資をしてました(笑)。
生駒:18年10月は、7500万を調達したシード期でした。当時、いろんな投資家の方にお会いすると、僕の人間性に期待されることが多くて、うれしい反面、ちょっと悔しい思いをしていたんです。僕としては、僕という人間ではなく、事業の可能性に期待していただきたいわけですから。
でも香田さんは僕の人間性を評価してくれたうえに「事業のスジがいいと思うから投資する」と言ってくれたのが本当にうれしかった。僕がSAKE100を通じて日本酒のラグジュアリーシーンを開拓したいと言ったら、「Supremeになりたいのか、それともHermèsになりたいのか」と質問されました。
つまり話題性で牽引するブランドなのか、圧倒的なモノづくりで優位性をもたせるブランドなのか、ということですよね。
香田:僕、そんな質問しました(笑)? まあでも、長らくゲーム事業をやってきた知見をベースに、コンテンツという側面から考えると、日本人がイメージする日本と、世界がイメージする日本にはかなりのギャップがあると感じていました。
日本の民族的・文化的土着性にグローバルで通用する価値観を与える、という点で生駒さんのビジネスがすごく興味深いと思ったんです。
いま、和食がNYはじめ世界でトレンドとなっていますよね。
僕の知人はハリウッドで和食店を経営しているのだけど、そこにはハリウッドスターやセレブが夜な夜なやってくる。でも、日本酒はそこまで到達できていない。
日本酒ってもともとすごく土着的なモノなわけですが、僕らが圧倒的優位性をもっているジャンルで、まだ世界に浸透できていないということに大きなポテンシャルを感じます。