コロナが再定義した「仕事」 次に必要なのは職場改革

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日本国内に8万人以上の従業員を抱える多国籍企業の富士通は、勤務時間をフレキシブルに選択でき、可能な限りテレワーク勤務を基本とする新制度「Work Life Shift」を発表した。さらに、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)によってもたらされた「ニューノーマル」に対応し、オフィススペースの半減も計画している。

富士通は、新たな働き方の導入により、従業員がこれまで以上に高い生産性を発揮できるようにし、イノベーションを推進するとともに、顧客と社会に新たな価値を提供したいとしている。

大企業がパンデミックの最中で、自社の従業員にフレキシブル勤務や自主性を認めることが技術的に実現可能であるだけでなく、十分うまく機能することを目の当たりにし、そのメリットを認識し始めると、どうなるだろうか? 非常事態の中でも十分うまく機能するのであれば、同期式のアプローチや無限に続く打ち合わせを捨てて、各従業員が非同期的に働くやり方を最大限に追求した場合、どんなことが達成できるだろうか?

自社をテレワーク主体に移行させることで、既に多くの企業が経験している現実に自社も対応しているという姿勢を示すことができる。それには多くのメリットがあり、有能な人材の獲得・維持や、従業員の満足度向上などにつながる。

こうした新たなアプローチの結果として最初に起きるのは、オフィススペースの再編だ。私だったら、今は大都市の不動産市場に手を出さないだろう。というのも、法人向けの物件が大量に余ることが予想されるからだ。次に、交通にも影響が出る。8万人が特定の勤務時間に従わずテレワークへ移行すれば、交通機関に影響をもたらすだろう。

こうした改革方針を打ち出したのは、富士通が初めてではない。他のテクノロジー企業では既に、従業員にテレワークを年内いっぱい続けることを認めており、これを2021年まで続行する企業もある。間もなく多くの企業が富士通に続くだろう。

私たちはパンデミックのおかげで、職場というのはオフィスや自分専用のデスクとは限らず、どんな形のものも可能であることを学んだ。決められたオフィスへ通って8時間以上働くといった働き方は、すぐに廃れるだろう。人々はテクノロジーの進化によりより効率のよい働き方ができることに気付き、従来の働き方は遠い昔の記憶に追いやられるのだ。

編集=遠藤宗生

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