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USJは、ずっと自分たちをTDRと比較し、「何が負けているか」ばかりを追っていた。当然、施策もそこに集中し、サンリオやスヌーピー、ディズニーキャラクター以外のキャラクター大集合という趣向であった。TDRとの差は「キャラクター」だと結論付けていたのだ。

これは「長所の最大化」と「潜在的ニーズを掘り起こす意味づけ」への意識が希薄であったといえる。

一見、同じようなテーマパークに見えるTDRとUSJの本質の差とは何か。それは「わくわく感」をどう生み出すかの違いだと私は考えている。

順を追って説明しよう。まず、TDRは千葉にある。つまり、「ここ(日本であり現実)」だ。そしてTDRは、この「現実の世界」から、ディズニーマジックによって「ファンタジーの世界」へとワープさせる。そのワープのカギとなるのは、「虚構的につくる」ことだ。

シンデレラ城は、実際の建物より高く見えるように、アニメの印象を視覚化している。そこに住む必要はないので、ファンタジーの世界を実現させることだけ(機能性は不要)に特化していて、その夢のように創られた世界を「現実みたい」に錯覚させる。この飛躍が大きいぶん、楽しさも大きい。

そして、この錯覚(ありえないことだが嬉しくて認めてしまう)をキープさせているのが、外部から遮断された園内であり、大掛かりな仕掛けであり、その仕掛けの細部、施設や設備だけでなくキャラクター、キャスト、イベント、食事、メッセージに至るまで、あらゆるタッチポイントを一貫して体験させ続けることだ。

それらによって、来場者は「夢と魔法の王国(永遠の子供)」での体験を持ち帰ることになる。パークの中では、「プリンセス」や「子供」に変身して、その虚構の世界を満喫する。重要なのは「虚構(夢やアニメ)のなかに自分は存在している」という感覚だ。

では、USJはどうだろうか。まず、来場者のいるところは現実だろうか。実は、TDRとUSJはそこからして違うのだ。

USJの来場者は、既に実写のハリウッド映画でリアルに描かれた世界がどんなものかを知っている。スパイダーマンとは誰か、ジョーズとは何か、バック・トゥ・ザ・フューチャーのストーリーやその映像の一部などは、既知の世界だ。

つまり、TDRのディズニーマジックでワープする「虚構の世界」は、USJの場合、映画を見たことですでに脳内にリアルなイメージが完成されている。そこからのスタートだから、ディズニーマジックのようにわざわざ虚構に置き換えることは意味をなさない。つまり、TDRの真似をしても意味がないのである。

文=高橋邦忠

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