著者のジェイク・ナップはグーグルで、ジョン・ゼラツキーはユーチューブで、人の目を「1分、1秒」でも多く引きつける仕組みを研究し続けてきた「依存のプロ」だ。そんな人間心理のメカニズムを知り尽くした2人だからこそ、同書の時間術はユニークかつ、きわめて本質を突いている。「人間の『意志力』などほとんど役に立たない」という、徹底して冷めた現実的な視点からすべてが組み立てられているのだ。
さらに、「いくら生産性を上げても、ひたすら他人の期待に応えているだけ」で、自分のためになっているわけではないという。
そんな本書において、時間を有効に使いたい人が気をつけるべきものとして、ツイッターをはじめとするSNSがあげられている。ツイッターなんて息抜き程度で隙間時間に見ているだけで、たいして時間を使っていない、と思っている人も多いだろう。しかし実際には、そんな何げない行動も大きなロスを生んでいる。そしてそのようなワナは至るところに潜んでいるという。本稿では「ダイヤモンド・オンライン」からの転載で、同書の一部を数回にわたって公開する。
「見せかけの達成感」に騙される
ツイートを共有する、フェイスブックを更新する、インスタグラムに写真を載せるといった行動は「時間クレーター」の元凶だ(「時間クレーター」とは、一瞬の時間を使うだけと思ってすることが起こす大きな時間のロスのこと。たとえば、数秒しか要しないつもりでツイッターでつぶやいても、そこからほかのツイートを見たり、しばらく自分のツイートへの反応を気にしたりして、結果的に30分以上の大きな時間ロスにつながることになる。『時間術大全』参照)。
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だが、それらが危険な本当の理由がある。そうしたことをすると、「見せかけの達成感」を得られるのだ。
ネット上のやりとりにコメントすると、何かをやり遂げたような気になり、「仕事をしたぞ!」と脳が知らせてくる。
だがネット上のコメントは、100個のうち99個までが取るに足りないものだし、それなりの代償を伴う。つまり、本当にやるべきことに費やしていたはずの時間と労力が奪われるのだ。見せかけの達成感は、やるべきことに集中する妨げになる。
見せかけの達成感には、ほかにもいろいろなものがある。