ハイライト(最も大事なやるべきこと。本書参照)を信じよう。あちこちに気移りしながらすごすのをやめて、ハイライトを優先することには、それだけの価値がある。
レーザーモードを信じよう。メールをさばくより、大事なことに一点集中したほうが多くを達成できる。
人を信じよう。本当の急用があれば直接言いに来るか、電話をくれるはずだ。
僕らは何者で、これはいかなる本か?
僕らはジェイクとJZだ。イーロン・マスクのようなロケット開発をしている大富豪でもないし、ティム・フェリスのようなハンサムな教養人でも、シェリル・サンドバーグのような天才的経営者でもない。
時間管理法の本といえば超人が書くものか、超人について書かれたものと決まっているが、この本には超人はいっさい登場しない。僕らは読者のみなさんと同じ、ストレスにやられたり気が散ったりする、あやまちを犯しがちなふつうの人間だ。
僕らがちょっと変わった視点をもっているのは、長年テクノロジー業界でGmailやYouTube、グーグル・ハングアウトなどのプロダクトの構築に関わってきたプロダクトデザイナーだからだ。
僕らはデザイナーとして、抽象的なアイデア(「メールが自動的に振り分けられたらよくないか?」など)を現実世界の解決策(Gmailのプライオリティボックスなど)に変える仕事をしてきた。そのために、テクノロジーが生活のなかでどういう位置づけにあり、生活をどう変えているのかを理解する必要があった。
この経験をとおして、スマホやラップトップ、テレビなどにあふれている便利なサービスはなぜこんなに魅力的なのか、こうしたテクノロジーに主導権を奪われないようにするにはどうしたらいいかについて、僕らなりの考えをもつようになった。
時間は「デザイン」できる
そうして数年前、僕らは時間という目に見えないものを「デザイン」できることに気がついた。でもその気づきをテクノロジーや事業機会として開拓するより先に、僕らの人生のいちばん意味のあるプロジェクトやいちばん大事な人たちとの時間にあてはめることにした。
毎日、自分にとっていちばん大事なことのために、少しだけ時間をつくろうとした。多忙こそ正しいとみなす世の風潮を見直し、やることリストと予定表をデザインし直した。無意識に受け入れているあらゆる習慣を見直し、テクノロジーを利用する時間と方法をデザインし直した。
僕らの意志力には限りがあるから、どのデザインも簡単に実行できるものでなくてはならなかった。また約束を全部断るわけにはいかないから、制約条件のなかで動いた。実験と失敗、成功を重ね、やがて答えにたどりついた。
本書では、僕らが編み出した原則と戦術を紹介しつつ、僕らの犯したヒューマンエラーや、オタクっぽい解決策についても語っている。