ゴールドマンのアナリストらが先週発表したリポートによると、バーやジムの営業禁止といった規制強化や、自主的なソーシャル・ディスタンシング(対人距離確保)措置は、米国の経済活動にすでに「顕著な影響」を及ぼしている。
テキサス、アリゾナ、カリフォルニアといった流行が深刻な州では先月、経済活動が低下し、ゴールドマンは今月もその傾向が続くと予想している。半面、消費者の支出への依存度が低い製造業と建設は気を吐いている。
こうした最新情勢を踏まえ、ゴールドマンは2020年第3四半期(7〜9月)の米国内総生産(GDP)成長率見通しを33%増から25%増へ下方修正した。
一方で、主要国・地域のコロナ対策期間中の経済情勢や、米当局が状況の変化に対応する姿勢をみせている点(たとえばテキサス州は今月、マスクの着用を義務づけている)などを踏まえ、米経済は9月に軌道に戻るとも予想している。
テキサス州のグレッグ・アボット知事をはじめ、当局者の間では、州経済の再度の完全閉鎖に踏み切るのは最後の手段だとする声が多い。スティーブン・ムニューシン米財務長官も先月、CNBCに「経済を再び閉鎖することはできない。経済を閉鎖すればダメージが大きくなるということをわれわれは学んだと思う」と語っている。
ゴールドマンは先に、全米でマスクの着用を義務化すれば、GDPの約5%にあたる1兆ドル(約107兆円)の経済損失を防げるとも試算している。
米国の一部の地域では、新規感染者が過去最多のペースで急増し、病院の対応能力が急激に逼迫してきたことから、経済再開計画の凍結や縮小に動いている。カリフォルニア州の19郡ではバーや映画館が閉鎖され、フロリダ州とテキサス州でもバーが閉鎖された。