コロナ追い風に資産を急増させる韓国ゲーム業界の富豪たち

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新型コロナウイルスの感染拡大によって世界中のエンターテインメント業界が打撃を受けるなか、韓国のゲーム会社「ネクソン」は好調な業績を維持している。

「我々の事業は停滞しておらず、これまで通りコンテンツを作り、ゲームを運営することができている」とネクソン・アメリカのCEO、Owen Mahoneyは話す。ネクソンの事業は100%バーチャルであるため、パンデミックの影響を受けていない。Mahoneyは、2010年に米国のゲーム大手エレクトロニック・アーツからネクソンに移籍した。

パンデミック後に自宅でゲームをする人は増加し、韓国のゲーム企業の業績に好影響を及ぼしている。ニールセンのSuperDataによると、3月のデジタルゲームへの支出額は全世界で対前年比11%増となり、4月は同17%増の105億ドル(約1.1兆円)だった。

この結果、ゲーム企業の株価は急騰し、創業者らの保有資産も大幅に増えた。「NCSoft」の創業者、金沢辰(キム・ テクジン)の資産額は47%増加し、25億ドルとなった。「NHNエンターテイメント」の創業者、Lee Joon-hoの資産は22%増加し、13.8億ドルとなった。

フォーブスが先日発表した「韓国の富豪ランキング」2020年版で、最も資産額を増やしたのは、韓国IT業界を代表する経営者で「カカオ」創業者の金範洙(キム・ボムス)だった。彼の資産は93%増え、52億ドルになった。「ネイバー」の共同創業者であるLee Hae-jinの資産は、85%増えて17億ドルとなった。

ネクソンの創業者で現在52歳の金正宙(キム・ジョンジュ)の資産は52%増え、96億ドルとなった。金は、持ち株会社NXCを通じてネクソンの経営権を握っている。彼は昨年、保有するネクソン株式を売却しようとしたが、買い手側との交渉は不調に終わり、ネクソンの株価は13%下落した。

買い手候補には、ゲーム会社「ネットマーブル(Netmarble)」やカカオ、ビリオネアであるマイケル・キムが設立したプライベートエクイティ・ファンド「MBK Partners」が含まれる。

ディールが不成立に終わったことで、ネットマーブルの株価は約20%下落し、創業者兼会長であるBang Jun-hyukの資産額は25%減って16.9億ドルとなった。Bangは、韓国ゲーム業界の創業者の中で資産を減らした数少ない経営者となったが、ネットマーブルの業績は好調で、今年第1四半期の売上は対前年比12%増の4億4700万ドルだった。2020年にリリースした「The Seven Deadly Sins: Grand Cross」が5300万ドルの収益をもたらしたことが寄与した。
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編集=上田裕資

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