刑務所の囚人のコロナ感染確率は一般の5.5倍、米国の調査で判明

Photo by Justin Sullivan/Getty Images

刑務所内の囚人らは一般の人々に比べて5.5倍も、新型コロナウイルスに感染しやすく、致死率も3倍に達していることが、ジョンズ・ホプキンズ大学とカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の研究者らの調査で明らかになった。

7月8日に医療ジャーナルのJAMAで公開された論文は、刑務所内での感染拡大がいかに深刻であるかを示している。「刑務所内での感染拡大は、より効果的な施策が導入されない限り食い止められない」と研究者らは結論づけた。

研究チームは3月31日から6月6日までの期間の、米国の全ての刑務所の感染動向のデータを入手し、同期間の米国疾病予防管理センター(CDC)が集計した一般のデータと比較した。

その結果、密集した環境やマスクなどの装備の不足、換気設備の不備などが原因で、囚人たちはパンデミックの影響を非常に受けやすい環境に置かれていることが判明した。研究者によると、刑務所内では検査が十分に行われておらず、全く検査を実施していない施設もあるという。

さらに、アウトブレイクが発生した施設で大規模な検査を実施したところ、感染率が65%以上に達していたケースが複数報告されているという。

サンフランシスコのサン・クエンティン州立刑務所では、全体の3分の1以上の囚人及びスタッフらが、検査で陽性反応を示していた。Natureによると、ベイエリアの研究者らは刑務所に無料の検査の提供を申し出たが、刑務所の担当者がこの申し出を断っているという。

サン・クエンティン州立刑務所でのアウトブレイクは、ホットスポットとして知られるチノの施設から、検査を受けていない囚人らが移送された後に発生していた。Natureは刑務所にコメントを求めたが、回答は無かったという。

メディアでは、刑務所内での感染予防がいかに杜撰であるかが連日報じられているが、新たなアウトブレイクや死者の発生が相次いでいる。7月7日には飲酒運転の常習犯で、6カ月の更生プログラムで服役中だった73歳がテキサス州の刑務所で死亡した。さらに、オハイオ州の刑務所でも、コロナウイルスに感染した刑務官が亡くなった。また、アイオワ州フォート・ドッジの刑務所でも、7月7日に囚人が死亡していた。

編集=上田裕資

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