このスピーチをばっちり決めなければならない
「これは完璧主義の核となる考え方だ。特に、事前の計画通りに全てのポイントを伝えなければと思ってしまうと、ステージ上で動揺したり不安を感じたりしてしまう。そうではなく、聴衆と過ごす今その瞬間に集中しよう。聴く側は、あなたが何を言うつもりだったのかなど知る由もない。予定していた内容の代わりに口にしたことの方が、力強い内容となることも多い」
自分は聴衆から評価を下されている
「その通り。聴衆はあなたを評価している。それはあなたにはどうしようもないことだ。もしも自分を偽って聴衆を喜ばせようとすれば、相手は正直さが欠けていることを瞬時に感じ取るだろう。他人からの評価は自分ではどうしようもないことを認め、それに固執しないこと」
自分は実力不足だ
「これは、自分はその場にふさわしい存在ではなく、ペテン師だと思われているのではないかと感じる『インポスター症候群』に陥っている証拠だ。そうではなく、自分には自分しかない価値があると考えよう。全く同じ経験やアイデアを持つ人は他にいない。もちろん、自分よりも知識のあるエキスパートはいるかもしれない。でも、そうした人にはあなたのように聴衆の共感を得られる話し方やストーリーがないかもしれない。あなたは、権限を持つ人にその価値を認められたから、このトピックのスピーカーとして選ばれたのではないか? 自分の専門知識を信じてステージに立てば、自信が高まり、ストレスが減るだろう」
では、潜在意識や深層意識にある考えや恐れの気持ちを拭い去るには、どうしたらよいだろうか? それには特別な秘訣(ひけつ)などない。練習あるのみだ。
「次に聴衆の面前に出る前に、自分が持っている思考を見つめ直そう。全てを列挙して、声に出して読み上げること」とターナーはアドバイスする。「例えばこんな具合だ。『私は聴衆の役に立つためにここにいる。これはたくさんあるスピーチのうちのたった1回。完璧さを求めなければ自信が持てる。聴衆からどう思われるかは自分ではどうすることもできない。自分は十分なエキスパートだ』」