英政府、外食を半額に 付加価値税も大幅減

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英国のリシ・スナック財務相は8日、新型コロナウイルスの流行により減少したバーやレストラン、ホテルの利用促進を目指した大規模な施策を発表した。

スナック財務相が打ち出した夏の予算には、英国のホスピタリティー業界で働く200万人の負担を和らげるための各種政策が盛り込まれた。特に目立つのが、外食を大きく値引きし、食品や娯楽に対する課税も減らす策だ。

レストランでの食事が50%オフに


「Eat Out To Help Out(外食して支援しよう)」と銘打ったこの割引制度では、参加企業で月曜から水曜の間に食事をした人が、飲食代の50%、1人最大10ポンド(約1350円)の割引を受けられる。

英紙テレグラフによると、企業は今月13日からウェブサイトを通して登録を行い、英政府からの払い戻しは5営業日以内に行われる。

付加価値税が20%から5%へ


食品や住居、娯楽にかかる付加価値税(VAT)は2021年1月12日までの半年間、20%から5%に下げられる。英紙ガーディアンによれば、スナック財務相はこの減税が40億ポンド(約5400億円)の景気刺激策となると説明。15万以上の事業や消費者が利益を享受できるとされる。

付加価値税の引き下げにより、消費者向けの食品や飲料の価格が事実上下がり、失職を危惧している人にも消費を促すことになる。また、商品に対して払うべき税金が減ることで、企業のメリットにもなる。この付加価値税率は、1970年代以来最低だ。

どちらの施策も「大きな救済」に


ホスピタリティー・プロフェッショナルズ協会(HOSPA)のジェーン・ペンドルバリー最高経営責任者(CEO)は、付加価値税の引き下げについて「ホスピタリティー業界にとって本当に大きなニュースで、大きな救済となる」と述べた。

HOSPAは長きにわたり、付加価値税率を他の欧州諸国と同様の水準まで引き下げるよう求めており、「政府がこれほど前向きな反応を見せたことは素晴らしい」と述べた。

ペンドルバリーは「この税率引き下げにより、非常に薄い差益で事業を運営している企業に重要な余裕が生まれ、復活・再建に役立つ」と述べた。HOSPAは「Eat Out To Help Out」の割引制度も「非常に必要とされる支援だ」と述べている。

編集=遠藤宗生

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