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2020.07.22

「ITのプロがいれば…」世界から国境をなくすクラウドサービスone visaが、成長する上で抱えた不安

one visa代表取締役CEO 岡村アルベルト

2018年12⽉の改正出入国管理及び難民認定法(以下、改正入管法)の可決で、海外⼈材の受け⼊れは加速したはずだった。しかし実際に外国人労働者が日本で働きたいと思ったとき、その前に大きく立ちはだかるのがビザ取得の問題である。

的確に必要書類を用意し、日本語で複雑な書類に正しく記入することは、彼らにとって非常に難しい。その難題を見事に解決するクラウドサービス「one visa」を誕生させた岡村アルベルト(以下、岡村)に、どのようにテクノロジーを活用し、成功に至ったのかを聞いた。


「世界から国境をなくす」ためのテクノロジー


「ペルーで生まれて、6歳から日本にいます。日本語の壁に囲まれて、いろいろと不自由な思いはしましたね。小学生のときに、在留資格が更新できず仲のよい友人が強制送還されてしまい、悲しい思いをしたことで、最初の課題感は芽生えました」

岡村は自らの経験も含め、日本にいる外国籍の人間の苦しみが手にとるようにわかると言う。複雑なビザ更新手続きに始まり、税金の手続きなど、日本人にも難解な書類を、日本語の壁の向こうからアプローチしなくてはならない現実を知っているからだ。

「行政書士に頼めば手続きは可能ですが、どうしても高額になってしまう。誰にでもできることではありません。

ならばその価格を下げるとともに、それぞれが母国語で手続きを行えたら、海外人材も流入しやすくなり、日本をはじめとした海外移住の敷居が低くなるのではないかと思ったのです。それが私たちの事業のミッションである『世界から国境をなくす』ということのひとつです。

入国手続きが簡略化されることが、労働人口の流動性を加速し、労働人口の減少が問題になっている日本の課題解決にもつながると考えたのです」

日本で生活し、大学卒業後は品川入国管理局受付窓口で勤務した岡村。現場責任者にまで昇格し、2万件以上の入管ビザを発行するなかで、あくまで紙ベースがゆえにある限界が大きくのしかかったという。

「いまだに入国管理局は日本語で書かれた紙がベースになっています。手続きはすべて対面で行われ、捺印も必要で、IT化がなかなか進まない現場なのです。

そのなかで、審査官にわかりやすい伝え方も書き方もわからない、必要書類もどう集めていいかわからない状況で入国審査を受ける。また国内にすでに暮らしている外国人も、書類不備などによりいつ送還されるかもしれないリスクを抱えながら、暮らしているのです。

もっと入管が求めるものを簡便に知らせることはできないか。私はそれを、紙ベースではなく、テクノロジーの力があればできると思ったのです」



働きたい外国人と労働人口が減少している日本の、心地よいつながり方


そうしてビザ申請・管理サービス「one visa」は誕生した。ここでは誰もが使い慣れている母国語で書類を記入でき、必要書類もわかりやすい。

「あえてアプリケーションインストール型にしなかったのは、入管書類というものは、変更される頻度が高いからです。その度にアップデートするよりも、常に最新の情報で構築できるクラウドサービスのほうが適していると考えました。

そして記入の際も、答えをなるべく選択肢で選べるように求められる答えをベースにした選択・分岐型のインターフェイスを採用しました」

さらに従来の行政書士では1人につき月30人程度が担当する限界だったところを、テクノロジーの活用によって業務効率化・時間短縮に成功。ある事例では月に60人以上を扱えるようになり、その分利用価格も半額以下に抑えることも可能にしたと言う。

「当初は留学生ビザに対応した個人向けサービスとしてリリースしたone visaですが、いまでは企業に特化することで、より働きたい外国人と働き手を得たい企業を直接的につなげられる形に進化しています。

入管の求めることと、企業が求めることは違います。それをオンライン上で的確にアドバイスできることで、よりスピーディーな入国・就職が可能になるわけです。いままで企業が海外人材を採用するためには何度も電話での確認が必要で、最低でも2〜3週間かかっていました。しかし『one visa』を経由すれば、最短2〜3日で手続きを終えることができるようになったのです」

ICTまわりで募った不安は外部のITプロフェッショナルに相談すべき


「one visa」のサービスはそうしたビザ取得に関する問題だけに止まらない。「世界から国境をなくす」ためのあらゆることが照準内だと岡村は語る。

「このサービスは最初からビザ取得限定で考えられたものではありません。海外人材が移住先で安定することができるためのサービスとして拡充していく予定でした。

まず移住するためには役所での手続きもあるし、住む家の審査もある。暮らしていくためにはクレジットカードも必要なので、その与信もある。「one visa」は独自の信用基準を設定し、それらの手続きもフォローするのです」

そのすべての根幹となっているのが、インターネットであり、クラウドというテックだ。その意味について岡村はこう表現した。

「テクノロジーはすべてにおいてのショートカット(近道)です。こうしたインフラをクラウド上に存在させることができたのも、テックが基盤にあったからこそです。とはいえ、私自身がITに明るいかといえば、そうではないのです。そうした技術をもった仲間がいたからこそ、できたことです」

当初はひとりで始めた事業だったため、ICTなどもすべて自分で構築していたというが、メンバーも20人を超え、ビジネスがグロースするに従い、不安が加速していったという。

「ある日突然、重要業務を担うマシンが動かなくなってしまったのです。これには本当に困りました。社内に詳しいスタッフもいなかったので、サポートに電話し、早急に修復してもらうことができましたが、あれには本当に背筋が凍りました。

いまでは担当者もつけていただき、安心してコアの業務に専念しています。いつでも連絡できるエキスパートがいるということがこんなに心強いとは……。

いま考えれば、起業のタイミングでITのプロフェッショナルを外部から導入しておくべきでした。そうすればもっとビジネス自体に専念してグロースが早かったのではないかと、後悔しています」



日本の魅力が消失してしまう前にできること


世界から国境をなくすために立ち上がった岡村。しかしまだ夢はかなったわけではないという。

「現状は日本だけですが、国内で確固たる市場を構築できたら、海外にも拠点をつくりたいですね。カンボジアに学校をつくりましたが、それを他の国にも広げたい。そして海外拠点をベースにボーダレスに人々が行き来できる社会を実現したいのです」

そして岡村は、日本社会が抱える問題も指摘してくれた。

「グローバルな視点で見れば、実は日本の魅力はけっして高まっているわけではありません。『one visa』設立は、そうしたことに対するソリューションとして、日本に利便性という魅力を追加するためのものでもあるのです。

アニメなどのサブカルチャー、クールジャパン要素が、かつては大きな魅力と考えられていましたが、いまではアジア諸国にもそうしたコンテンツを生み出す力がついてきています。その差別化が長続きするとは思えません。

2019年4月の改正入管法で、やっとこれまで就労ビザの発給が認められていなかった外食や宿泊などの14業種における就労ができるようになりましたが、外国人と経済を進めたい人が増えている一方で、そうした魅力の魔法が解けかけている現実もあります。もっと外国人にとって働きやすい国にならなくては、日本の経済が停滞してしまいます」

楽観視はできない、希望と同時に警鐘も鳴らす岡村。この課題は果たして、日本企業にリアルに伝わっているのだろうか。現在はコロナ禍で、人材の自由な流入は一時的にストップしているが、早晩その問題は再び浮上してくるものなのではないだろうか。

最後に、課題解決を続々と実現してきた岡村に、起業を夢見る若手へのメッセージをもらおう。

「かつて、進路を選ぶときに、ベンチャーという選択肢がない時代がありました。しかしいまでは学業終了後、起業することもそれほど珍しくありません。何らかの社会課題を解決し、世界を変えようとする信念、理念がある人なら、チャレンジしないのはもったいないことだと思いますね。

ただ、起業は目的ではありません。自分の抱く新しい社会をつくり上げるものであり、手段です。その目的がお金だとしても、ぜんぜん構わないと思いますけれど(笑)。ただ強い想いがあると、いざという時、踏ん張れますよ!」


岡村アルベルト(おかむら・あるべると)◎1991年ペルーにて、日本人とペルー人の両親のもとに生まれ、6歳で大阪に来日。大学卒業後、品川入国管理局受付窓口で勤務。現場責任者を経験し、年間約2万件のビザ発行に携わる。2015年、one visa設立、代表取締役CEOに就任。17年6月にビザ取得サービス「one visa」をリリースした。


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