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#供述弱者を知る


記事化の青写真はこの時点では、まったく描けておらず、取材班の角記者や井本拓志記者(31)にも明確な説明はできていない。デスクの私がそんな状態であれば、彼らが「このプロジェクトは本当にゴールにたどり着くのか」と不安に思う可能性もある。そのような〝迷い〟を振り払うために、デスクの本気度を示す必要があった。同時に、手間の掛かる作業をデスクが請け負うことで、名古屋の本社にいる私と離れていて、日常的には顔を合わせることが出来ない支局チームとの連帯感を高めることもできる。

社命で立ち上げる取材班を「大企業の開発チーム」、編集委員が勝手に始める取材班を「下町ロケット方式」に例えたが、社会部デスクの時代に大企業式でやっていたころは、このような単純作業は記者に丸投げし、メモの分析に専念することが多かった。だが、人手にも時間にも余裕がない「下町ロケット方式」では、そうはいかない。単純作業を丸投げして記者の負担が増せば、その分取材の時間が奪われることになり、結局は全体の進行が遅れてデスクの自分にしわ寄せが来る。むしろ、机上の仕事が主になるデスクが単純作業をした方が、取材班全体がうまく回る。

取材内容をエクセルに打ち込んだ理由


その日のうちに、西山さんが逮捕された2004年から2008年8月までの20数通分の主要部分を表形式にするためエクセルに打ち込み、翌日には次のステップへのガイダンスを記した角記者への以下のメールに添付、送信した。

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角 さま
昨日は多忙中、面会のセッティング、備品購入、コピー取り、返却、お父さんさんの事後対応、などを含めて、さまざま、お疲れさまでした。手元の手紙については、ざっとポイント部分だったり、気になる部分だったりを抜粋し、メモの状態にしましたので、添付しました。基本的にエクセルで、ここに時系列で発生から司法手続きの日時、その他資料のデータなどを落とし込むと、わかりよいかと思います。今後としては、以下の要領で進めてください。

(1)自宅にある、まだコピーされていない手紙(その他の資料もあれば)のコピー(2)関係者(まずは、恩師、続いて候補あれば随時)取材(3)並行して紙面展開のコンテ作成

恩師の取材を年内に、可能な限り、早いうちに、と思っていますが、忙しい中でのことなので無理にとは言いませんが、このレベルの調査報道だと相当、巻いて進める必要があるのは確かなので、よろしくお願いします。引き続き、全面的にバックアップします。 残りの手紙類のコピーが出来た時点か、または、恩師のアポが取れた時点でそちらに出向くことになるかと思います。また、お父さんにも年内にもう一度は状況をお話しに行く必要があろうかとも思います。 秦

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文=秦融

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