タイで同性婚が事実上合法化、台湾に次いでアジアで2番目

タイのバンコクで2019年5月17日に開催されたLGBTの権利のための集会(Photo by Lauren DeCicca/Getty Images)

タイ政府は7月8日、同性カップルの結婚を事実上認める、「市民パートナーシップ法案」を承認したと発表した。この法案が成立すれば、タイは台湾に次いでアジアで2番目に同性カップルの権利を認める国家となる。

この法案は、同性婚を認めるものではないものの、同性カップルが養子を迎える権利や、配偶者の財産を相続する権利を認める内容となっている。

台湾は2019年にアジアの国としては初めて同性婚を法制化したが、今回の法案が成立すればタイはアジアで2番目に同性カップルの権利を認める国となる。

今回承認された法案は、同性カップルのつながりを“結婚”と規定していないが、人権団体のレインボー・スカイ・アソシエーションは、この法案を前向きに捉えている。「大切なのは呼び方ではなく、内容だ」と、同団体のプレジデントのKittinan Daramadhajはロイターの取材に述べた。

タイではまだ、性転換が合法化されておらず、今回の法案はシスジェンダー(Cisgender)の同性カップルのみを対象としている(シスジェンダーとは、トランスジェンダーの対義語で、生まれたときに割り当てられた性別と性同一性が一致し、それに従って生きる人のことを指す用語)。

しかし、それでもこの法案は前向きに捉えられている。「私たちはついに愛する人と結婚し、家族として暮らす権利を獲得した」と、タイ出身のトランスジェンダーでニューヨークのモデル事務所Trans Models創立者のPeche Diは述べている。

タイ政府の広報担当のRachada Dhnadirekはブルームバークの取材に、「この法案は、タイ政府が全ての人々の平等を推進し、同性カップルの権利を保証する上で重要な一歩となる」と述べた。

タイのLGBTQ+カルチャーを分析した2014年のレポートで、国連開発計画(UNDP)及び米国国際開発庁(USAID)の研究者らは「現在のタイは矛盾を抱えている」と述べていた。

「タイの観光庁はゲイの楽園というイメージを打ち出しているが、タイ社会では今もなおセクシャリティに関する議論はタブーとされ、学校での性教育も不十分だ」とレポートでは指摘されていた。

編集=上田裕資

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