組織デザイン構築のカギは、“自社の美学”を貫けるかどうか

ヨハク 代表 山口達也(左)、モザイクワーク 代表取締役社長 杉浦二郎(右)


杉浦:「その時代のフラストレーションから生まれる絶望をいかに希望へと変えるか?」を、あのたった4楽章にいかにまとめたか? を知るのは面白いですし、そうすることで「なぜ音楽を美しいと思うのか?」を踏み込んで理解できるようになってきているように感じます。

面接でも同様に、「この人の背景が何で、だから今こうで、これからどうしていきたい」に対して先ほどお話した思考プロセスを踏んでいくと、相手の気持ちに対する「感受性」が高まるかなと。

逆にヤマグチさんは、この質問に対してどう回答しますか?

ヤマグチ:僕もほぼ同じですが、「自分の感じる“良い”をひたすら言語化すること」と回答しています。

何事にも因果関係があるので、「良い」と思うならそこには何か必ず理由があるはずなんですよね。

ただ、日本人は「言わぬが華」「阿吽の呼吸」のような“語らない美学”を大切にするカルチャーのDNAで育っているので、この言語化が非常に苦手なのだろうと個人的には思っています。

言語化力の身に付け方

杉浦:ちなみにヤマグチさんは、どうやってその言語化力を身につけたのでしょうか?

ヤマグチ:実は中学生の時から「なぜこのバンドの歌詞やメロディにこんなにも自分は共感するんだろう?」と思い、ひたすらそのバンドのインタビュー雑誌や過去・経歴をウェブで漁っては自分なりに分析していたんですよ(笑)

「このアーティストも過去にこういう孤独感を感じていて、それが今の自分の心境とこう重なるから共感するのか!」と無意識でずっと繰り返し言語化していたのが原点です。

杉浦:なるほど、だいぶ変わった少年期ですね(笑)

ヤマグチ:何の因果か、今のブランディングの仕事も実は構造としては同様で。

「そもそも、なぜこの会社は存在するのか?」を創業者に問いかけ、その“企業の美学・哲学”を言語化するところからコーポレートブランドの策定を行っています。

なので、やはり「言語化」の量と質が“美意識”を強化することに繋がるのかなと個人的には思いますね。

杉浦:これらを踏まえた上で人事の目線に話を戻そうと思うのですが、これからの人事は非常にクリエイティブで面白い仕事になると実は思っているんですよ。

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文=山口達也 写真=福嶋賢人

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