経済・社会

2020.07.09 16:30

大統領目指すカニエ・ウェスト、「ワクチン陰謀論」を熱弁

Photo by Calla Kessler/The Washington Post via Getty Images

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ラッパーのカニエ・ウェストは7月8日に公開されたフォーブスのインタビュー記事で、真剣に米国大統領を目指していると述べた。ウェストはさらに、「新型コロナウイルスのワクチンが、人々にマイクロチップを埋め込むために用いられる」との陰謀論を支持していることを明らかにした。

ウェストはフォーブスのRandall Laneの取材に「新型コロナウイルスのワクチンに重大な懸念を抱いている」と述べた。

「彼らは、私たちの体内にチップを埋め込もうとしている。彼らはあらゆる手段を講じて、私たちが天国の扉を渡ることを阻止しようとしている」とウェストは話し、ワクチンが新約聖書に記述された“獣の数字”の役割を果たすと述べた。

彼が述べたチップに関する話は、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツがコロナウイルスのワクチンを通じて数十億人の人々に、マイクロチップを埋め込もうとしているという陰謀論に基づくものだ。ネット上では、ゲイツとアンソニー・ファウチ米国立アレルギー・感染症研究所所長が共謀しているとの説も囁かれている。

ウェストはさらに別の陰謀論についても言及し、ゲイツがインドでポリオワクチンのテストを実施し、50万人近くの子供を麻痺させたと述べた。「非常に多くの私たちの子供がワクチンを打たれ、麻痺させられた」と彼は話した。

AP通信が5月に実施した調査で、ワクチンが開発されたら必ず接種したいと回答した米国人は全体の50%にとどまっており、専門家は「これは低すぎる数字だ」と指摘していた。そんな中で、このような陰謀論が広まることは公衆衛生上の危機を高めることになる。

ウェストはその他の保守派、もしくはキリスト教福音派色の強い陰謀論も支持しており、妊娠に関する医療や教育を提供する団体「プランド・ペアレントフッド(全米家族計画連盟)の施設は、「白人至上主義者が悪魔の仕事をするために都市に設置された」と述べている。彼は近年、ワイオミング州コーディの人里離れた農場で多くの時間を過ごしている。

新型コロナウイルスのパンデミックの発生後に、米国では反ワクチンの陰謀論が広まった。ゲイツやファウチ所長らが米国人にチップを埋め込もうとしているとの噂は、フェイスブックの投稿から拡散したとされている。

共和党支持者の44%が陰謀論を支持


ビル・ゲイツは今年6月、「私はマイクロチップ関連の事案に一切関わりを持たない」と発言していた。「こういった非常にくだらない、奇妙な話を打ち消すのは難しい。なぜなら、この話題に言及することが話に信憑性を与えてしまうからだ」と彼は話した。

ただし、ウェストが信じる陰謀論は、共和党支持者の間では広く支持されている。5月にYouGovとヤフーが実施した世論調査で、ゲイツがマイクロチップを埋め込もうとしているとの説を信じる人の割合は、共和党支持者の44%、Foxニュースの視聴者の50%に達していた。一方で、民主党支持者の間では19%にとどまっていた。

ウェストはフォーブスの取材で、真剣に米国大統領を目指していると述べた。「これまで自分の人生で行ってきたことと同様に、勝利するために出馬する」と彼は話した。

編集=上田裕資

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