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Photo by Spencer Platt/Getty Images

「ウォーレン・バフェットがゲームに戻ってきた」──。ニューヨーク・タイムズのニューズレター「ディールブック」にそんな見出しが躍ったように、バフェット率いるバークシャー・ハサウェイが久しぶりに業界を沸かせる大型投資を決めた。

バークシャーは5日、ドミニオン・エナジーから天然ガスパイプライン網を97億ドル(約1兆400億円)で買収すると発表した。パイプラインをめぐる最近のニュースからすると、一見、途方もない買収額に思えるかもしれないが、将来性を見込んだ戦略的に賢い投資だと言える。

ドミニオンとパートナーのデューク・エナジーは、東海岸で建設を計画していた「アトランティック・コースト・パイプライン」の中止も明らかにした。このパイプラインは自然歩道「アパラチアン・トレイル」の数百フィート(1フィート=約0.3メートル)下を走るとされ、事故の懸念などから環境団体が差し止め訴訟を起こしていた。

両社は最高裁まで進んだ訴訟で、建設を認める判決を勝ち取っていたものの、その後、新たな異議申し立てに直面。一連の訴訟により、当初見積もりで45億〜50億ドルだった建設コストは80億ドルに膨れ上がっていた。

計画の撤回にあたっては、他社が中西部で開発した「ダコタ・アクセス・パイプライン」のことも念頭にあったかもしれない。このパイプラインに対しては米先住民らが抗議活動を行っており、6日には連邦地裁が8月5日まで稼働を停止するよう命じている。

コストが膨張していることや、法廷でもパイプラインに懐疑的な見方が広がっているようにみえる点を踏まえると、ドミニオンがパイプライン事業から手を引きたかったのも合点がいく。では、バークシャーのバフェット会長と相棒のチャーリー・マンガー副会長はなぜそれに関わることにしたのか?

天然ガスの「輸送」に照準の慧眼


それを考えるにはまず、ドミニオンの直近の年次報告書を読んでみるといいだろう。それによれば、同社が保有する約1万6700キロに及ぶ天然ガス輸送・集積・貯蔵パイプライン、それに液化天然ガス(LNG)ターミナルは、2019年の営業利益34億ドルのうち約24%(約8億ドル)に寄与している。

バークシャーの買収額にはドミニオンの負債57億ドルも含まれており、それを差し引くとパイププラン関連事業の評価額は約40億ドルとなる。合計で100億ドル近い買収だとはいえ、投資評価会社モーニングスターのデータではバークシャーには1370億ドルという潤沢な手元資金があり、それに比べるとごく一部ということになる。モーニングスターは、買収した事業は年に約10億ドルの純利益を生むとも試算している。

編集=江戸伸禎

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