SlackのCEOのスチュワート・バターフィールドは、Rimetoのサービス名称の変更を検討中だが、Rimetoのサービスを独立した形で存続させ、Slackの顧客以外にも提供していくと述べている。買収にあたっての金銭的条件は明かされていない。
バターフィールドによると、買収に向けての協議が始まったのは、新型コロナウイルスのパンデミックにより北米の多くのオフィスの閉鎖が始まった今年3月のことだったという。Slackはそれ以前の数カ月で数百名にのぼる社員を新たに採用しており、Rimetoのようなサービスの重要性を認識していた。
バターフィールドは各社員の詳細なプロフィールを一覧可能にすることで、各個人のスキルを明確にし、適切な人材の配置が可能になると述べている。
「パンデミックを受けてリモートワークが定着する中で、企業内のコミュニケーションの新たなニーズが顕在化した」とバターフィールドはフォーブスの取材に語った。
Rimeto は2016年に元フェイスブック社員のNeville BowersやMaxwell Hayman、現CEOのTed Zagatらによって設立された企業で、2019年のシリーズA資金調達で1000万ドル(約10億円)を調達していた。
Slackが外部企業を買収するのは5社目だが、買収後もその企業のサービスを、スタンドアローンの形で存続させるのは今回が初となる。Rimetoの社員数は、2018年に買収したスタートアップのAstroと同レベルという。
バターフィールドによるとSlackは現在、より多くの個人認証データをRimetoのツールに取り込むことを目指し、パートナー企業のOktaと話し合いを進めているという。同社はこれにより、企業間でのディレクトリー情報の共有を促進させようとしている。
Slackは6月に企業間のコミュニケーションを促進する新たなツール「Slack Connect」を発表しており、Rimetoの買収には、その魅力を高める狙いもある。
リモートワークでのコミュニケーションを促進
バターフィールドに、Rimetoのツールを取り込むメリットを尋ねたところ、彼は大手銀行の業務の効率化をその一例にあげた。一日に数百件ものメッセージをやり取りする中で、銀行のエンジニアリングチームの社員は、特定のコーディングスキルを持つ社員を迅速に見つけ出す必要に迫られる。そのようなコミュニケーションの効率化は、企業の間でリモートワークが定着する中で、ますます重要になっているとバターフィールドは述べた。
「Rimetoが創業当初に掲げたミッションは、組織内の全てのメンバーをより深く理解できるようにするというものだった。パンデミック後にリモートワークが定着し、対面のコミュニケーションが減少したことで、そのようなツールの重要性はさらに高まった。Slackは今後、組織で働く人々が、これまでのオフィスと同様の形で、互いを理解するためのツールを提供していく」と、バターフィールドは話した。