ライフスタイル

2020.07.12 21:00

猫と人間の暮らし──私たちは工夫次第でもっと幸せになれる


猫は気軽に飼えるのか?


いくら「猫は手間がかからず飼いやすい」と言っても、当然、相応の準備は必要だ。ペットテックのスタートアップ「トレッタキャッツ」(神奈川県藤沢市)の松原あゆみさんと嬉野千鶴さんは、準備不足のまま飼育を始める人たちが増えることに対する懸念も抱いている。

「以前から飼いたかった人が飼い始めているのであれば嬉しいんですが、ただ寂しいからという理由でペットショップなどで買おうとする人がいるなら、ちゃんと長く猫を愛してくれるのかなと心配です」(松原さん)

「(以前働いていた保護猫カフェ)ネコリパも、就職で上京したばかりで寂しいから猫を飼いたいという理由で来る人も多いんです。でも中には2、3カ月くらいで仕事を辞めちゃう人もいる。保護主さんからすると、そういう時に猫の世話はどうするつもりなんだろうと心配です」(嬉野さん)

トレッタキャッツの嬉野さん
これまで200頭以上の保護猫の譲渡に携わってきた嬉野さん

特に嬉野さんが強調するのが、「飼い主の生活の安定」だ。

「例えば保護猫譲渡の際は、去勢費用やノミ・ダニ駆除の費用などの医療費3万5000円程度を新たな飼い主さんに負担してもらっているのですが、審査の最終段階でその程度の医療費を支払えないということが判明することもあります。また、書類に書いてある住所を調べてみると、ペット不可の物件だったり、ゴミ屋敷のような家だったり、ということもありました」

新型コロナによって、飼い主と猫が一緒に暮らす時間は増えたし、新たに猫を飼い始める人も増えた。

これまで以上に丁寧に世話をする人も増える一方で、準備不足や知識不足、そして覚悟不足のまま猫を飼う人も増えるだろう。

そういう意味では飼い主の愛情を享受できる猫と、できない猫の二極化が進むと言えるかもしれない。
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文=鷲見洋之

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