ビジネス

2020.07.21

社内で情報格差をつくらない。AnyMindの急成長を支えるコミュニケーション術

AnyMind Groupの十河宏輔CEO


「各国で優秀な経営者を採用」がブレイクスルーにつながった


グローバルで急拡大できた一つの理由として、各国のカントリーマネージャーとして優秀な経営者を採用できたところが大きいです。

僕は「ゼロイチ」が得意なタイプなので、まずは自分で各国の立ち上げをやっていくんです。しかしスケールさせるためにはある程度、現地でカントリーマネージャーを立てて任せていかないといけない。それは前職でもおこなっていました。ちゃんとその国で優秀な経営者を採用し、彼ら彼女らに権限を委譲していくところが大事だと思っています。

まだ全拠点でベストな布陣というわけではありませんが、タイやインドネシア、香港など主要拠点でかなり信頼できるマネジメントチームをつくることができたことが、やはり今グローバルで成長できている一番の理由かなと思います。

具体的にはM&Aを結構活用しているんです。海外拠点の社長、経営者自身をM&Aで「採用」できています。過去には香港、タイ、インドで買収をしており、そこの経営者がうちの拠点長をやってくれています。

香港では「ACQUA MEDIA(アクアメディア)」という会社を買収し、そこのファウンダーがうちの香港および台湾のリージョナルのヘッドをやっています。タイで買収した会社は、インフルエンサーマーケティングを手がけるユーチューバーの事務所で「MOINDY(モインディ)」というのですが、そこの社長がタイの拠点長をやってくれています。

買収のストラクチャーも採用的な側面を意識して工夫しており、一部株式交換で株を持ってもらったり、一部キャッシュインしてもらったり……といったことをうまく使い分けています。彼らにとって100%のイグジットではなくて、AnyMindの経営陣として当事者意識を持ってもらえるような仕組みにしています。

もちろん日本から海外に社員を派遣しており、日系企業への営業に関しては日本的な営業スタイルも重要です。日本で採用して、すぐそのまま香港に行ってもらって、香港で日系の営業チームの立ち上げをやってもらったり、優秀な日本のメンバーを海外拠点に送ったりと、かなりダイナミックに人を動かしています。

M&Aを活用しての社長の採用は僕個人の中では「鉄板」。一番、合理的なんじゃないかなと思っています。グローバル展開するためには、やはりどうしても優秀な経営陣を各国で確保しないといけませんが、社長ってなかなか採用できないのです。

僕らの4年の軌跡を振り返ったときに、この点はターニングポイントだったんじゃないかなと思います。

文=林亜季 写真=小田駿一

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