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ラスベガス発 U.S.A.スプリット通信

Noam Galai / 寄稿者/Getty Images

何かと映画やテレビドラマなどに登場するFBI(連邦捜査局)だが、近年、広報活動に熱心なこともあり、就職先としての人気が圧倒的に高まっている。NBCニュースによると、去年は900人の採用枠に対して、応募者が1万6000人にも上ったという。

YouTubeを見れば、FBIのアカデミー(訓練学校)の様子が無数にアップロードされていて、FBIそのもののYouTubeチャンネル登録者数も13万人に上っている。これは、事務職も入れた全FBI職員が3万5000人しかいないことを考えると、かなり大きな数字だ。

しかし、地元の警察と違い、FBIはそもそも市民には縁遠い存在であり、この就職熱はやや理解に苦しむ。

実際に見たことがある人は少ない


FBIは、文字通り連邦法を犯す犯罪者を捜査し、拘束し、連邦検事に送検する機関だが、法的には、全米の各州の地元警察と比べて、特に権力や権威があるわけではない。

多くの犯罪は、各州警察の管轄に属する州犯罪とされるため、犯罪者が州や国境を跨いだり、あるいはスパイ容疑など連邦法の犯罪を犯さない限り、FBIの出番はない。そのため、FBIの人間とは喋ったこともないという市民が圧倒的に多い。また、FBIエージェントには制服もないので、見た目では判断がつかず、彼らを見たことがないという人も多い。

法律上は、地元の警察とFBIとは優劣がないとされているものの、現場ではやはりFBIがより権威を持って見られることは間違いがなく、ハリウッド映画でも、地元警察がFBIに嫌みを言われて頭を垂れるシーンはよく出てくる。

この権威はどこに由来するのかといえば、約1兆円の予算を背景にした、データベースの構築とトレーニングの充実にある(ちなみに日本の警察庁の予算は2600億円)。

例えば、犯罪捜査に欠かせない容疑者のバックグラウンドチェック。このとき50州全部の州警察のデータベースに照会をかけるのは現実的でないので、容疑者が居住した州に限ってデータをチェックするが、それに加えて欠かせないのがFBIのデータベースだ。米国に入国するときに必ず採取される指紋データはFBIで共有されるが、地元警察は個別に申請しないと見られないことになっている。

また、人口規模の小さい地元警察が大きな事件を抱えて処理しきれないときに、連邦警察に支援を求めるという法的な枠組みもできている。

例えば、全米に560もあるネイティブ・アメリカンの居留地は、地元のごく小さな警察組織を必ず持っているが、重罪の場合には、FBIが捜査を担当する協定を結んでいる場合がほとんどだ。なので、独立自治のはずのネイティブ・アメリカンの居留地で起きた事件に、なぜかFBIが現場検証に入って捜査するという珍現象が頻繁に見られることになる。

文=長野慶太

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