ビングループ傘下の「ビンスマート(VinSmart Research & Manufacturer)」は声明で、同社のVsmartシリーズからAris 5Gと呼ばれる新型モデルを発売すると発表した。「ビンスマートはベトナム企業としては初めて、5G対応のスマホの発売に漕ぎ着けた」と同社は述べている。
「当社はベトナム企業の開発力や製造キャパシティを他の諸国に示し、ベトナム国民らに世界最先端のテクノロジーへのアクセスを提供していく」
ハノイに本拠を置くビングループの2019年の売上は約55億ドル(約5900億円)だった。同社の会長のPham Nhat Vuongはベトナムで最も裕福な人物で、推定保有資産は57億ドルとされている。ビングループはショッピングモールの運営や、リゾート開発や不動産事業も手がけ、自動車製造や大学の運営も行っている。
ビンスマートなどのベトナム企業は、ここ5年ほどスマートフォンの開発を行ってきたが、外国メーカーに匹敵するほどの知名度は得られていない。ベトナムの消費者は今のところ、海外ブランドのほうにより高い関心を示している。Vsmartのベトナム市場でのシェアは16.7%で、サムスンやOPPOに次いで3位となっている。
ビンスマートは競合らに価格の安さで挑み、昨年は1台100ドル程度のスマホを市場に投入した。同社は今回のハイエンドクラスの製品を、当初はベトナム限定で販売する。製造業のハブとしての地位を高めつつあるベトナムの経済は、ここ約8年ほどの間好調で、約9700万人の国民の暮らしも向上している。
ビンスマートは今後、「メイドイン・ベトナムの5Gのエコシステム」を整備していくと述べており、今回の端末には128ギガバイトのメモリと、クアルコムの765プロセッサが搭載されている。
「当社は、ベトナム国民らが間もなく、世界で最も進化したテクノロジーにアクセス可能になることを望んでいる」と同社は声明で述べた。ビンスマートは昨年6月から外部企業とのパートナーシップで、5G対応端末の開発を進めてきたという。
IDCインドネシアのLam Nguyenは「ビンスマートの今後の成功は、エコシステムやパートナーシップにかかっている」と述べた。「同社が競争に勝ち抜き、忠実な顧客を獲得するためには、外部企業との提携やエコシステムの創出が欠かせない」
ビンスマートの5G端末の発売日や価格は、まだ明かされていない。