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小規模な医療機関向けに予約プロセスを簡素化するプラットフォームを手がける米スタートアップ、ネックスヘルス(NexHealth=本社サンフランシスコ)が、新たに1500万ドル(約16億円)の資金を調達した。同社のシステムは患者の医療・健康データの相互運用性を強みとし、新型コロナウイルスの流行後は遠隔医療サービスも拡充。「医療界のマイクロソフト」をめざすと20代の若い創業者は野心に燃えている。

ネックスヘルスの6月30日の発表によると、今回の資金はエンジェル投資家のジョシュ・バックリーのリードによるシリーズAラウンドで集めた。これにより、同社の累計ベンチャーキャピタル(VC)調達額は1975万ドル(約21億円)となった。

ネックスヘルスは2017年、アラミン・ウディン(26)とワリード・アシフ(28)が共同で創業した。ニューヨーク市立大学で学んだあと、医学部への進学を検討していたウディンは、ブロンクスの病院で受付係の仕事に就く。しかし、その作業は退屈でうんざりさせられ、簡単な電話応対や予約の受け付けは自動化できるのではないかと考えるようになる。

だが、いざそれに取りかかると、壁にぶつかる。ウディンが開発しようとしていたカスタムアプリでは、患者の電子健康記録(EHR)からデータを取り込めなかったのだ。「これは自分だけの問題ではなく、すべての人にとっての問題だと気づきました」と彼は振り返る。

そこでウディンは、ニューヨーク市立大学の学部時代に知り合ったアシフと手を組むことにした。そうしてできあがったのが、ネックスヘルスの製品第1弾となるオンライン予約システムだ。2016年10月にはシードラウンドで150万ドル(足元のレートで約1億6000万円)を調達し、ほどなくして中小の病院や歯科医院向けに製品を販売し始めている。

コロナで遠隔医療サービス伸びる


ネックスヘルスの製品を競合他社の製品と区別する重要な特徴は、多くのEHR業者と相互運用が可能な点だ。これにより、かつてウディンをわずらわせた問題を避けることができる。ソフトウェアの相互運用性のおかげで、同社は予約プロセスを自動化でき、導入機関は受付係が患者に確認の電話をかけずにすむなど、事務の効率性を高められるのだ。

ネックスヘルスはその後、予約に加え、安全性の確保されたオンラインメッセージサービスも導入した。また、新型コロナウイルスのパンデミックが起きてからは遠隔医療サービスも強化し、ウディンによると今では顧客の半数が利用しているという。3カ月前には、さらに顧客の医療費の支払いを処理するサービスも始めている。

EHRとの相互運用性を確保し、さらに新たなサービスを次々に加えることで、ネックスヘルスは急成長を遂げてきた。顧客数は2万5000近く(内訳は病院と歯科医院が半々)まで増え、売上高は2019年夏以降、約230%伸びている。

今回調達した資金は、API(アプリケーション・プログラミング・インターフェイス)事業の成長に生かしたい考えだ。医療関係のアプリやその他のソフトウェアの開発に携わる人は、フリクション(摩擦や障害)を減らし、顧客にとって使い勝手のよいサービスにしたいと考えており、その点でネックスヘルスは理想的なプラットフォームだとウディンは話す。

ウディンは将来的にネックスヘルスをこの分野で第一のソフトウェアプラットフォームにすると意気込む。「わたしたちの目標は医療界のマイクロソフトになることです。開発者であれ、病院であれ、患者であれ、当社の製品やサービスを知っていようがいまいがとにかく使っている、というようにしたいです」

編集=木内涼子

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