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2020.07.07 16:30

立ち上げから7年で「第二章」へ コロナ禍でリブランディングに踏み切ったVCの狙い

(左から)Bonds Investment Groupパートナーの細野尚孝と日野太樹

(左から)Bonds Investment Groupパートナーの細野尚孝と日野太樹

「我々のファンドはリミテッド・パートナー(LP)の8割は機関投資家が占めているのですが名前の影響もあってか、オプトホールディング(現:デジタルホールディングス)のコーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)と思われることが多かったんです。そのため事業シナジーや戦略パートナーとして投資の相談をいただくことが多く、このままのイメージではその文脈でしか投資できなくなる可能性もあると感じ、オプトからは独立したベンチャーキャピタル(VC)の色を出していかなければ、と思っていたんです」
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こう語るのは、Bonds Investment Groupパートナーの細野尚孝だ。同社は先日、商号をオプトベンチャーズからBonds Investment Groupへとリブランディングを実施した。リブランディングにあたり、Bonds Investment Groupは「社会課題の解決にフォーカス」「ワンチームで社会課題の解決に挑戦」「バディ制で起業家を支援」の3つを強化していくという。

Coral CapitalやSTRIVEなど、新たなファンドの組成に合わせてファンドの名称を変更する事例はこれまでにもあったが、既存ファンドを運営した状態でのリブランディングの事例はあまり耳にしない。なぜ、このタイミングでリブランディングに踏み切ったのか。Bonds Investment Groupがリブランディングに込めた思い、そして今後のVCとしてのあり方について、パートナーの細野尚孝と日野太樹に話を聞いた。

「CVC」のイメージを持たれたくなかった


Bonds Investment Groupの設立は2013年。これまでに2つのファンドなどで、累計140億円を運用し、55社以上のスタートアップへの投資を実行。15社以上のスタートアップをイグジットに導いた実績を持つ。
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立ち上げ時から、“日本の社会課題の解決”をテーマに掲げ、「印刷業界のシェアリングエコノミー」を実現したラクスル、不特定多数の人に業務を委託する「クラウドソーシング」を世の中に浸透させたランサーズなどに初期から投資を実行してきた。しかし、ファンド名に“オプト”の名前があったため、どうしてもCVCのイメージが強くなってしまい、オプトが保有する顧客網を活用した事業提携の相談がシリーズBラウンド以降のスタートアップから、多く寄せられるようになってしまっていた。

「我々は機関投資家や金融機関から資金を預かり純投資をしているのですが、事業シナジーを求められる相談が多かった。相談が来てから、『我々はそういった投資をしていない』とお伝えするのは、お互いにとってロスが多い。であれば、最初から独立したVCとして、きちんと自分たちの色を出していき、どういったVCか知ってもらった状態で投資の相談を受けた方がお互いにとって良いので、リブランディングしようと思いました」(細野)



結果的に、オプトホールディングスがデジタルホールディングスへと社名を変更したのと同じタイミングで社名が変更になったが、リブランディングについては1〜2年前からずっと考えていたことだった、という。

VCとして、どういった立ち位置を築くべきなのか──さまざまな方向性を検討する中で、突如、新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るった。外出自粛が要請され、在宅勤務へと移行する中で、自然とチーム内でのディスカッションの機会も増加。新型コロナウイルスで亡くなられている人や、強制的に隔離されるような状況が生まれていたことから、改めて立ち上げ時に掲げた“社会に対する価値貢献”に向き合うVCであるべき。そう定義した。

「新型コロナによって、今後社会のシステムが大きく変わっていきます。その中で雇用環境の問題や、格差社会といった問題がきっと出てくる。そういった社会問題の解決にフォーカスするVCとして、投資活動や起業家の支援を行っていきたいと思っています」(日野)
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文=新國翔大 写真=小田駿一

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