AI通信「こんなとこにも人工知能」

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新型コロナウイルスの影響が、購買行動、仕事、教育などのデジタルシフトを加速させるなか、人工知能(AI)を使用した「視線追跡技術」の可能性を模索する実証実験やプロダクトが相次いで登場している。

公益社団法人・流通経済研究所は、展開中の「リアル店舗活性化プロジェクト」の一環として、NeU、ジオクリエイツなど研究パートナーとともに、顧客の視線を学習するAIの開発・強化に乗り出すと発表した。顧客の購買行動の特徴を視点の動きから割り出すという目的を持ったもので、AIの学習を重ねることで、商品や店舗に対する顧客の「無意識的な評価」までデータ化していこうという試みである。

プロジェクトチームは、視線データとともに収集している脳活動データも学習用のデータとして活用。「視線推定AI」のベースモデルをすでに完成させているという。今後、クリエティブデザインや商品陳列、売場演出の評価などに同技術を活用できるよう開発を進めるとしている。また将来的には仮想現実(VR)技術との融合も念頭に置いている。

仮に仮想店舗をデジタル上に構築し、そこで顧客の視線から売り場を最適化する方法を発見することができれば、効率的かつコストを削減しながらマーケティングおよび店舗施策を構築することが可能になることだろう。そうなれば、製造業を中心に注目されているデジタルツイン技術が、小売分野で本格的に確立されていくきっかけとなるかもしれない。

韓国では、PC、タブレット、スマートフォンなど、デジタル機器上のユーザーの視線を把握する技術を持ったスタートアップ企業が注目を集めている。視線分析アプリ「seeso」を開発したビジュアルキャンプだ。

seesoは、端末前面に内蔵されたカメラと人工知能を利用して、ユーザーの目の動きを感知。例えば、ECなどの利用シーンで視線が止まった商品を把握し、レコメンドや割引クーポンを提示するなどの機能と連携が可能だ。SDK(ソフトウェア開発ツール)も公開されており、自動車の車載カメラと連動させれば、居眠り運転対策などにも応用できるという。

視線推定AIは、オンライン試験におけるカンニング防止など、デジタルライフのさまざまなシーンで活用が期待されている。今後、どのようなプロダクトおよびサービスが登場するか要注目である。

連載:AI通信「こんなとこにも人工知能」
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文=河 鐘基

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