ロボットは人間の代わりに有能な「政府のリーダー」になれるのか?

ロボットが大統領を務める未来は訪れるか(Unsplash)

人工知能とロボットが様々なホワイトカラー業務を自動化することで、第四次産業革命は労働市場に大混乱を引き起こすと予測されていますが、この科学的な調査結果に該当しない職業があります。それは、最も批判され、詮索され、冷笑される職業の1つ、政府の指導者です。

しかし、インドや英国、ニュージーランド、日本など、多岐にわたる国の評論家たちは、ロボットが政府のリーダーになれば、意志決定は劇的に改善すると提案し始めています。これは本質的に間違いを起こす人間と比べて、ロボットは不合理的なことや不規則なことをほとんど起こさないという考えに由来しています。

米国ドナルド・トランプ大統領の予想外の選挙結果(とその後の言動)に対して専門家が繰り返し主張しているように、人の感情が政治を動かし、有権者は「許容すべき欠点」を支持する傾向にあるということは、現実に起こっていることが物語っています。それでも、複雑でリスクの高い意思決定を行うにあたり、「ロボット政府」は人間よりもはるかに優れていないといえるのでしょうか。

投票にせよ任命にせよ、ロボットやサイボーグ、あるいはアルゴリズムによる統治はSF小説のように聞こえるかもしれませんが、ロボット政府の利点は明白です。ロボットは、多くの政府のリーダーたちを象徴するであろう、イデオロギー的な急進主義や視野の狭い考え方、あるいは個人主義的や自己陶酔的な傾向により生じる弊害とは無縁と言えます。つまり、ロボット政府は合理的で公正かつ均整がとれた科学的根拠に基づいた意思決定を行うことができるのかもしれません。

このため、優れたデータ分析能力と無限のエネルギーと「スタミナ」により(これらは、先の米国大統領選挙活動において最も議論された要因の1つです)、「ロボット政府は、いかなる人間のリーダーよりも迅速かつ行き届いた政治を行うことができるでしょう。

また、ロボット政府は汚職や非倫理的な言動に左右されることがほぼありません。こうした理由から、私たちは、失業手当の受給資格から多様な市民のニーズに対応するサービスの選定まで、複雑化した社会政策の問題に関する決断をAIに委ね始めています。
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文=Zeger van der Wal, Associate Professor, Lee Kuan Yew School of Public Policy, National University of Singapore; Yifei Yan LSE Fellow in Social Policy, London School of Economics

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