まず、バイデンの現在のリードは、クリントンや2008年と2012年のバラク・オバマのリードよりも大きくなっている。政治情報サイト「リアル・クリア・ポリティクス」による世論調査の平均値では、バイデンはトランプを平均9ポイント引き離している。
これは、2016年の今ごろ、クリントンがトランプに対して得ていたリード(4.5ポイント)の2倍だ。また、2008年7月のオバマの共和党候補ジョン・マケインに対するリードは5.5ポイント、12年7月のオバマの同ミット・ロムニーに対するリードは2.5ポイントだった。
バイデンはまた、クリントンよりはるかに人気が高い。リアル・クリア・ポリティクスの調査の平均値では、バイデンを「好ましい」と思う人は44.5%、「好ましくない」と思う人は46%となっている。一方、クリントンは2016年の今の時期、「好ましい」が39.5パーセント、「好ましくない」が55.5パーセントだった。
選挙でほぼ例外なく重要な要素となる経済情勢も、バイデンに優位なものになりつつあるようだ。経済運営に関する評価では、バイデンは4月から5月にかけてトランプに2桁のリードを許していたが、ここへきてほぼ肩を並べている。クリントンの場合、この分野ではおおむねトランプに2桁の差をつけられていた。
一方のトランプは、ほかにも現職としての重荷に苦しめられている。リアル・クリア・ポリティクスの調査では、米国は「悪い方向に進んでいる」と答えた人が68%にのぼり、「正しい方向に進んでいる」と答えた人はわずか24%だった。
この割合は2016年7月とほぼ同じ(「悪い方向」が66%、「正しい方向」が25%)なのだが、当時のトランプは挑戦する立場で、変化をもたらす候補と位置づけられていた。今回、その称号はバイデンに与えられている。
トランプは4年間、強硬な右派として政権を運営してきたため、以前のように比較的穏健派という有利な立場にも立てなくなっている。調査会社ギャラップの2016年10月の調査では、クリントンについては有権者の58%が「リベラル派」、37%が「保守派」もしくは「穏健派」と見なしていたのに対して、トランプについては47%が「保守派」、41%は「リベラル派」もしくは「穏健派」と見なしていた。
だが、今年5月の政治専門紙「ヒル」と調査会社ハリスXの合同世論調査では、トランプを保守派と見なす人が62%にのぼり、穏健派もしくはリベラル派と見なす人は38%にとどまった。一方、バイデンについては、リベラルと見なす人と穏健派もしくは保守派と見なす人が50%ずつとなっている。