新型コロナで50億ドルの収入減、米スポーツ業界への影響

NBAコミッショナー アダム・シルバー

NBA(全米プロバスケットボール)では3月、相次いで選手の新型コロナ陽性が発覚、レギュラーシーズンの日程を無期限で停止した。

CDC(米疾病予防管理センター)は50人以上が集まるイベントの中止もしくは延期を推奨。ほぼすべてのプロスポーツが早くても5月中旬まで開催できなくなった。米「Forbes」誌の推計によると、2カ月間試合が開催できなければ、主要スポーツだけでもチケット販売、コンセッション、スポンサーシップ、テレビの放映権料などの収入が50億ドル以上減少するとみられる。

MLB(メジャーリーグ・ベースボール)だけで20億ドルの収入減、NBAは12億ドル、NCAA(全米大学体育協会)は3月の試合のキャンセル料など10億ドル、NHL(北米プロアイスホッケー)やNASCAR(米ストックカー・レース)、MLS(メジャーリーグ・サッカー)は合計で9億ドルの赤字の可能性がある。さらに経済封鎖による波及的効果は計算が難しいが、莫大な金額になるのは想像に難くない。

選手への影響はどうか。NBAの集団交渉合意では、不可抗力(パンデミックも含まれる)で試合がキャンセルになると、1試合ごとに給与の1/92.6が引かれる。シーズンはおよそ80%が終了していたので、今後再開されないとすると、選手は平均で150万ドルの給与減となる。NBAでもっとも稼ぐ選手の1人、ゴールデンステート・ウォリアーズのステフィン・カリーは800万ドルの減収だ。

ゴールデンステーウォリアーズのステフィン・カリー
ゴールデンステート・ウォリアーズのステフィン・カリーの減給額 800万ドル

スーパースター選手や彼らの億万長者のボスはいいとして、時間給でスタジアムやアリーナで働くスタッフは大変だ。働けないスタッフへの金銭的なサポートが検討されている。

以上の計算は、NBAやNHLのシーズンが再開すると見込んだ数字。NBAやNHLがさらなる延期や完全に中止となり、MLBのシーズンが遅れると、100億ドルの収入減につながるとみられる。

文=Kurt Badenhausen

この記事は 「Forbes JAPAN 6月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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