しかし、本当にそうでしょうか。
私は「育ち」とは、家柄とは関係のないその方の佇まいのこと、と思っています。
「育ちがいい」と人から思われる所作やふるまいを、知っているかいないかだけの違いです。
私は仕事柄、皇室や政界、有名芸能人、一部上場企業のトップ陣など、数多くのエグゼクティブや一流の方と接する機会がありますが、その中でも「育ちがいい」と言われる方には共通点があるように思います。それが、接する誰もが心地良く感じるふるまい。普段から自然に行っているであろう所作の美しさ、言葉遣いや話し方。そして、そこに現れる心遣いです。これらが、見る人に「育ちの良さ」を感じさせていると思うのです。
お受験や婚活、重要な場面で問われる「育ち」
なぜ、マナー講師である私が、今あえて「マナー以前の育ち」についてお伝えするのか? その理由はここにあります。
実は、お受験、就活、転職、婚活、結婚など、人生の重要な局面で、この「育ちの良さ」を問われることが圧倒的に多いのです。お受験では、お勉強や付け焼き刃の浅いお行儀ではなく、にじみ出る「育ちの良さ」が求められます。婚活でも、容姿や年齢、職業以上に「育ち」が重視されます。
たとえば、婚活がうまくいかない理由の多くに、食事中のふるまいがあげられます。「買ってきたお惣菜をお皿に移さず、パックからそのまま食べる」「お箸を三手で取り上げず、片手でつかんで取り上げてしまう」……これらは、マナー違反まではいかなくとも、品格や好感度が下がる日常の些細な習慣。
せっかく正しいマナーを身につけて、パーティや高級レストランで完璧にふるまえても、マナー以前のところで気づかないうちに減点され、チャンスを逃してしまう。これは本当にもったいないことです。
「育ちの良さ」は、良家に生まれ、そこでしつけられない限り、知ることも、身につけることもできないと多くの方が思い込んでいますが、知ることさえできれば、どなたでも身につけていただけます。
そこで、「育ちがいい」と言われる所作や、話し方、ふるまいのコツを『育ちがいい人だけが知っていること』にまとめました。「こんなとき、育ちがいい人はどうしているの?」という疑問への答えをエピソードと共にご紹介しています。
一度身につけたら一生の財産になりますから、ぜひ、今から「育ちの良さ」を手に入れてください。
※諏内えみ著『「育ちがいい人」だけが知っていること』からの抜粋