TikTokがファーウェイと並ぶ「米国の敵」に認定される可能性

Photo by Chesnot/Getty Images


インドの動きに西側諸国が追随する可能性


2つ目は、セキュリティに対する懸念であり、これはより複雑な問題だ。中国のテック企業は、その多くが中国政府とのつながりを指摘されているが、批判の矛先はTikTokとファーウェイに集中している。その理由は簡単だ。両社は米国企業とユーザーの奪い合いをし、大きな成功を収めているからだ。

TikTokはセキュリティ面で課題があることを認め、既に修復したとしているが、同社に対する調査の結果、スパイウェアやデータ窃盗の疑いが浮上している。だが、問題はそれほど単純ではない。多くのアプリは、ユーザーデータを活用してターゲット広告を打つことで莫大な収益を上げている。

TikTokはユーザーの嗜好や行動を分析しているが、他の多くのプラットフォームも同じことを実践している。それにも関わらず、世論は同社がやり過ぎているとして強く批判している。TikTokのセキュリティ問題が、国家間の安全保障に関わるリスクであるかを判断するためには、より深く調査を行う必要があるだろう。

TikTokを利用している数億人の若年層ユーザーは、これまで同社に向けられている批判をあまり気にしてこなかったが、報道が拡散するにつれて状況は変わりつつある。Zoomにセキュリティ問題が生じた際、同社は迅速に対応した。TikTokも、Zoomのように問題に正面から取り組み、早く対処する必要がある。

TikTokにとって最悪のシナリオは、欧米諸国がプライバシーやセキュリティの問題を理由に、アプリへのアクセスを制限したり、禁止措置を講じることだ。そうした兆候はまだないが、インド政府が中国との緊張関係をきっかけに禁止措置を講じたことで、今後他国が追随する可能性は強まっている。

一連の動きを受けて、フェイスブックはTikTokに対抗してリリースしたアプリ「Lasso」を閉鎖したが、インスタグラムは同じくTikTokの競合機能である「Reels」の提供エリアを拡大している。米テック業界では、中国発アプリであるTikTokの成功を妬み、この機会に乗じてカテゴリーキラーの座を奪い返そうとする動きが見られる。

編集=上田裕資

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