時代を読む、東京ホテルストーリー vol.1「星のや東京」

客室タイプ「菊」は現代の日本旅館を代表するモダンな空間。障子越しに陽ざしの明るい客室で長期滞在に最適な広さ。


ラウンジは、各階の6室に滞在するゲストのみが利用できる専用スペース。お茶やスイーツ、菓子類も用意され、軽い夜食や、朝には“おにぎり&味噌汁”もリクエスト可能だ。ここでは仕事をするも、新聞を読むも、お茶をしながらくつろぐも自由。日本には、「袖振り合うも多生の縁」という先人が残した言葉があるが、このラウンジも自分の家の「お茶の間」のように活用でき、ホテルはこの都会の贅沢な隠れ家では、別宅で暮らすように滞在して欲しいと願っている。


歳時記に合わせた季節の茶菓子や煎餅などが用意される「お茶の間ラウンジ」。お茶やコーヒー、ジュース、特に朝の「おにぎりとみそ汁」は大好評。2階の「SAKEラウンジ」ではお酒も楽しめる。


客室でのテレワークは誰にも邪魔されない集中できる時間。お茶の間ラウンジも自由に使えるため、好みの場所を選んで“お仕事モード”もあり。

デジタル・デトックスの滞在に“三密回避”の濃やかな対策


建物の最上階には、天然温泉の大浴場が設置され、驚きは、空が見える露天風呂も造られたこと。大都会のインテリジェントシティ大手町で味わう、“いい湯だな~”の温泉三昧など誰が想像しただろう。さらに「星のや東京」の魅力は温泉だけには限らない。


地下1500mから湧き出る天然温泉の大浴場は最上階に。内風呂と露天風呂が造られ、都心の夜空を見つめながら別世界へ。

高級旅館として、開業当初より世界中から熱い視線を受ける理由の中には、「星のや東京」が発信する伝統とモダニズムの融合、東京にしっかりと残される江戸の“粋”や、今の東京の“洗練”が館内に見え隠れしている醍醐味にある。

星野リゾート全体で貫かれる“ご当地主義”の中で、「星のや東京」が発信するアクティビティはどれも一辺倒ではなく面白い。超都心の天然温泉三昧もそのひとつだが、熟知しているようで知らなかった東京発見が体験できる。そんなエキサイティングなプログラムには、年間で楽しめる“人力車遊覧”があり、何度も遠慮した人力車に乗ってみた。

人に見られることよりも、都会を走り抜ける人力車の姿を見ている自分を想像してみた。真っ赤なひざ掛け、俥夫のコスチューム、洒落た人力車のフォルム、まるで映画の撮影のようである。おすすめのコースは、神田から日本橋、人形町などを巡り、都会に残る江戸の名残や老舗を見つけるひとときに興奮していた。他にも“脱デジタル滞在”として江戸の剣術稽古に励み雑念を払う「武士の鍛錬」など、東京らしさを体感できるプログラムが用意されている。


玄関前から人力車に乗って出かける都心巡りのコース。街の歴史や新たなユースも俥夫が案内してくれる。

ところで、感染症蔓延により旅をするにも遠慮がちな現在、星野リゾートでは、最高水準のコロナ対策「星野リゾートが考える三密回避の旅」を提案している。それを基点に、近い旅から始める「マイクロツーリズム」という新しい旅の仕方が誕生、多くの賛同を得ている。旅をすることは決して廃れない、いつの世も、人が永遠に求めるカルチャーである。


星のや東京
住所:東京都千代田区大手町1-9-1
http://hoshinoyatokyo.com/

文=せきねきょうこ 写真=Hoshino Resort

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