米国もマスク推奨に一転、州や自治体がキャンペーンを開始

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州や地方自治体がこうした取り組みを始めた背景には、新型コロナウイルスとの戦いですべての州の足並みがそろっているわけではなく、トランプ政権に対して、全米規模でマスク着用を義務化すべきだとする圧力が強まっていることがある。

オバマ政権で保健担当次官補を務め、現在はハーバード大学で研究するハワード・コウ(Howard Koh)教授は、「いまだに、50州が50の異なる方向を向いて新型コロナウイルスに対応している。すべての米国人が公共の場ではマスクを着用するよう、国が一時的に義務づけるべきときが来ているのは明らかだ」と話す。

「(7月1週目の週末は、)1年のなかで最もにぎわいを見せる祝日のひとつである独立記念日(7月4日)であり、米国各地で多くの人が集まる。リーダーは今すぐに、人と人がともに安全に過ごすためにはマスクを着用するしかないということを強く訴える必要がある」

11月の大統領選挙にトランプに挑む民主党候補、元副大統領のジョー・バイデンは、選挙に勝って大統領に就任したらマスク着用を義務化すると表明している。6月30日にデラウェア州ウィルミントンでスピーチを行ったバイデンは、「公共の場では誰もがマスクを着用しなければならないというメッセージを、連邦政府の頂点に立つ人間が明確に打ち出すことが何としても必要だ」と語った。

米国以外の諸国はマスク着用を、新型コロナウイルスの感染拡大を大幅に食い止め、人命を救い、ウイルスを制御する方法として採用している。

ハーバード大学のコウは、「公共の場で全員にマスクを着用させることは、ウイルスの拡散を大幅に抑えられることがわかっている、シンプルで常識的な施策だ」と話す。「世界中の多くの国では、マスク着用によってきわめて大きな効果を上げ、アウトブレイクを防止している。ワクチンが開発されるのは何カ月も先のことだ。マスク着用を義務化すれば、どうしても必要な経済活動を、ウイルスの大規模な感染拡大リスクを伴わずに再開することが可能になる。私たちはあらゆる手を尽くして、かけがえのない米国人の健康を守らなくてはならない」

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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