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2020.07.12 10:00

この夏最も安全なヨーロッパ旅行、20の行き先(ワルシャワなど)

観光業がGDPの15%を占める島、マルタ

観光業がGDPの15%を占める島、マルタ

ヨーロッパ各国ではコロナ対策の制限措置を緩和して国境を開放する動きが進み、安全な観光のための新たな方策も生まれている。羽を伸ばしたいなら、夏休みにヨーロッパを旅するのが現実的な選択肢になりそうだ。

コロナ危機下でも、特定の国同士では一時待機なしで入国を許可する「エア・ブリッジ」「トラベル・バブル」「ホリデー・コリドー」などと呼ばれる構想があったが、各国政府や国際機関、観光協会はそれに加えて、新たな取り組みや取り決めを推進している。まずはヨーロッパ域内での観光を再開し、その2~3週間後には、サマーシーズンのピークに間に合うよう域外からの観光客の受け入れを目指す。

英ザ・サン紙は、「エア・ブリッジ」を利用した夏休みのヨーロッパ旅行が6月にも再開決定しそうだと伝えている。

欧州委員会のEDEN(ヨーロッパの優れた観光地)ネットワークに属し、持続可能な観光を促進しているヨーロピアン・ベスト・デスティネーションズ(EBD)によれば、「ヨーロッパでは多くの国々が国境を開き、フライトやホテルも再開している」という。

「久しぶりに外出禁止が解かれたらヨーロッパを旅したいが、どこを訪れればいいかがわからない、各地でどのような安全対策がされているかを知りたい」という悩みに応えるため、EBDは新型コロナウイルスの影響が小さい(感染率が平均の600分の1というところまである)観光地20カ所のリストを発表した。

リスト入りした観光地は病院が近くにあり、住民1人当たり病床数がヨーロッパの中でも多い。また、宿泊施設やレストラン、店舗での衛生ガイドラインを細かく定め、チェックアウト後のエアコンフィルター交換、マスクの配布、ソーシャルディスタンスの徹底といった対策を行っている。

実際に旅行する際の注意点として、EBDは以下の4つを挙げている。

・油断せず、手洗いや咳をするときのエチケット、ソーシャルディスタンス、マスク着用を忘れない。

・体調が悪いときは旅行を控える。

・70歳以上、肥満、呼吸器疾患などの人は特に注意する。

・大切な人や現地の住民を守るのは旅行者の義務。

では、ヨーロッパで最も安全な、美しい観光地を紹介していこう。今回は、その後編。前編はこちら


11. コトル(モンテネグロ)


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コトル湾岸の閑静な町であり、「ヨーロッパ随一の美しさを誇り、カップルも食通も、自然、トレッキング、ウォーキング、サイクリングの愛好者も楽しめる」とEBDは請け合う。

古くから地中海への出口となったコトル港は、周囲をベネチア共和国時代の城壁に囲まれている。海岸線はアドリア海でも特に複雑に入り組んでおり、ヨーロッパ最南部のフィヨルドとも言われるが、正しくは河川峡谷が海に沈んだ地形である。

石灰岩の山肌をそそり立たせるオリエン山とロブチェン山も、コトル周辺の印象的な景観に一役買っている。

最近は、コトル湾の自然環境と古い街並みに魅せられた観光客が増えている。「コトルの自然と文化-歴史地域」「16-17世紀ベネチア共和国の軍事防衛施設群」という2つの世界遺産の一部にもなっている。

モンテネグロの感染率は被害が特に大きいヨーロッパ諸国の60分の1と低く、コトルはコロナ関連死が1人も出ていない安全地帯である。

人口当たりの病床数はノルウェーやアイルランド、カナダよりも多い。7月1日に観光客の受け入れを再開する。入国後の一時待機は必要ない。
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翻訳・編集=門脇弘典/S.K.Y.パブリッシング

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