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ラッパーのカニエ・ウェストは以前から2024年の米国大統領選挙に出馬する意向を示していたが、7月5日のツイートで、今年の大統領選に出馬すると宣言した。一部からは、ウェストが民主党のジョー・バイデン候補の票を奪うとの見方が浮上したが、データからは別の可能性が見えている。

かつて、2005年の大型ハリケーン「カトリーナ」の被災者支援コンサートで、当時の共和党のジョージ・W・ブッシュ大統領が「黒人に関心を払っていない」と批判したウェストは、2016年の大統領選挙から2週間後に「(もし投票するなら)トランプに投票するつもりだった」と述べ、世間を驚かせた。

ウェストはさらに2018年4月には、トランプ支持派で知られる保守派のコメンテーター、キャンディス・オーウェンズに賛同する姿勢を見せ、トランプの象徴である「メイク・アメリカ・グレイト・アゲイン」の赤いキャップの写真をツイッターに投稿した。さらに、ホワイトハウスを訪問した際には「彼のことが好きだ」と述べていた。

彼はその後、アメリカ合衆国憲法修正第13条を廃止すべきだと述べ、物議を醸していた。憲法修正第13条は奴隷制度を違法化する条項であり、ファンの間でも困惑が広がったが、彼はその後、「廃止」ではなく「修正」を呼びかけていると、その後の発言で説明した。修正第13条は奴隷制を隠蔽するものであり、そこには欠陥があるというのがウェストの主張だった。

2015年9月にハフィントン・ポストとYouGovが1000人の米国成人を対象に実施した世論調査では、黒人有権者の25%がウェストへの投票を検討すると答えていた。一方、白人有権者の間での数値は3%だった。また、彼を好ましいと答えた人々の比率は、黒人の間では39%で、白人9%、民主党支持者17%、共和党支持者11%となっていた。

しかし、ウェストが公にトランプ支持を宣言した直後の2018年4月の同じ調査では、全く異なる反応になっていた。ウェストを好ましいと答えた人々の割合は、黒人の間ではわずか9%、民主党支持者の間では13%となった。一方、白人の間では20%、共和党支持者の間では34%になっていた。

また、CNNが2018年5月に1015人を対象に実施した調査も、類似した傾向を示していた。ウェストの政治的コメントについて知っていると回答したのは全体の72%だったが、民主党支持者の間での彼の支持率は低く、好ましいと答えたのが12%に対し、好ましくないと答えたのは67%に及んでいた。共和党支持者の間では意見が割れ、好ましいと好ましくないがそれぞれ、35%と35%だった。

政治アナリストのRachel Bitecofeは、ウェストの出馬をイーロン・マスクが支持したことにより、本来はバイデンに向かうはずだった黒人の若い有権者の浮動票がウェストに流れ、その結果、トランプが有利になると分析した。

編集=上田裕資 写真=Getty images

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