経済・社会

2020.07.04 12:00

【激動・昭和の都政史】かつての「オリンピック知事」は政治未経験の医師だった

1964年東京オリンピック開会式の様子。激動の時代を駆け抜けた東京都知事とは (Getty Images)


就任から3年で都財政の黒字化を達成した鈴木は「ミスター行革」とも呼ばれたが、彼の目立った仕事は財政再建だけではない。1991年に丸の内から現在の新宿に都庁を移転させたのも鈴木都政時代であり、在職した16年の中で挑戦した仕事は多い。しかし彼が力を入れた臨海都心開発は、インフラ整備だけで1兆円以上の額をつぎ込むこととなり、バブル経済の崩壊とともに再び赤字都政のきっかけとなってしまった。鈴木に対しては「3期でやめていれば名知事」という見方もあるようだ。
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平成から令和初の都知事選へ


その後は直木賞作家である青島幸男、芥川賞作家である石原慎太郎、大宅壮一ノンフィクション賞受賞作家である猪瀬直樹と3人の作家が続き、平成になってからも知事の経歴はバラエティに富んだ。


史上最多の22人が名乗りを上げた2020年東京都知事選。投開票日は7月5日だ。(Shutterstock)

2014年から都知事を務めていた国際政治学者で政治家の舛添要一が政治資金をめぐる公私混同疑惑で辞任すると、2016年に現職の小池百合子が当選。1期4年を経て、令和初の都知事選を迎える。最初の公約で掲げられた「待機児童ゼロ」「残業ゼロ」「満員電車ゼロ」など「7つのゼロ」は達成されていない項目も多く、批判の声も挙がっている一方で、コロナ禍では政府に先んじてオンラインで緊急会見を行うなど、存在感を示してきた。


ネット上の選挙活動が解禁されて7年が経ち、特にSNS上では今回の都知事選の個性的な候補についても取り沙汰されているが、果たして都民は誰に一票を入れるべきか。時代の流れをもっとも汲み取った政策を掲げ、未来を託したいと思える候補者を慎重に選びたい。

文=渡邊雄介、編集=督あかり

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