山中伸弥教授に問う、新型コロナウイルスは社会と人体をどう変えるのか?

7月4日(土)19時半〜放送の「NHKスペシャル」に出演する山中伸弥教授


──新型コロナウイルスが中長期的に及ぼす影響について、予測されるものがあれば教えてください。例えば風邪をひきにくくなるようなことはあるのでしょうか。

それは「人による」という答えになります。もともと風邪の3分の1くらいは別の種類のコロナウイルスによって引き起こされています。そう考えると、新型コロナウイルスに感染した方は、それ以外のコロナウイルスを原因とする風邪に関して、多少罹患しにくくなるということもあるかもしれません。ですが、これはまだ全くわかりません。

そもそも風邪の原因はコロナウイルス以外である方が多いですから、その場合にはどうなるかはわかりません。いずれにせよ、もう少し様子を見ないと予想自体が難しいです。

──最後に、iPS細胞を使ってウイルス研究を行うとどんなことがわかるようになるのかお聞かせください。

私は感染症の専門ではありませんが、医学研究者ですので、今まで研究してきた様々なツール、iPS細胞や遺伝子治療などが使えるのではと思っています。実際それらを活用する研究も始めていますので、少しでも貢献できるように頑張りたいと思っています。

なかでも、私が「ファクターX」と呼んでいる、新型コロナウイルス感染症の重症化を防ぐ要素の本質に迫りたいと思っています。人の遺伝子の特徴によって新型コロナへの反応が異なるのであれば、それぞれの重症度の人からiPS細胞を作り、そこから汎用の細胞を作ってウイルスを感染させることで、実験室で新型コロナへの感染や重症化する過程を再現できるかもしれません。こういったことをいろいろな方と共同研究で始めています。やってみないと結果はわかりませんが、見つかる確率は高いと考えています。

文=平井孝幸 文中写真=Getty Images

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