今回のラウンドを主導したのはフィデリティやWestcap Group、Inovia Capitalらで、Sonderの企業価値は13億ドルとされた。評価額は昨年7月に実施したシリーズDをわずかに上回った。
Sonderの共同創業者でCEOのFrancis Davidsonは現在27歳で、2018年のフォーブス「30アンダー30」に選出されていた。「事業モデルを転換し、一時的な滞在にフォーカスした。それによって財政状況を改善し再び成長軌道に載せることに成功した」と彼は話した。
2012年創業のSonderはアパートなどの中古物件をリノベーションし、エアビーアンドビーやエクスペディアなどを通じて貸し出している。同社は現在1000人以上の従業員を抱え、6カ国の28都市で1万2000軒以上の物件を掲載している。
Sonderは家主らと3〜5年程度の賃貸契約を結び、多くの場合1フロアを丸ごと借り切っている。Davidsonによると契約には市況の悪化に備え、部屋の稼働率が下がった場合は賃貸料を8%値下げするとの条項が盛り込んであったという。この分野の競合の多くは、複雑な各都市の民泊規制に縛られているが、Sonderの物件の多くはホテルの営業許可か短期宿泊のライセンスを取得済みという。
Sonderはホームレンタル市場において、プロクオリティの安心感あるサービスで差別化を果たそうとしている。高級ホテル並みの洗練されたデザインの物件の清掃は外部の業者が手がけ、清潔なタオルやアメニティが用意され、アプリからコンシェルジュサービスも利用可能だ。手短に言うと、Sonderは高級ホテルの部屋のエクスペリエンスを、その他の要素を排除した上で提供するサービスということになる。
元エアビーアンドビーのCFOで投資企業WestCap創業者のLaurence Tosiは、「彼らは安心感のある、一貫したエクスペリエンスをもたらそうとしている」と話す。「Sonderの物件はデザイン性に優れ、ワンクリックで予約可能で、ホテルの部屋よりも広い」
しかし、パンデミックはもちろんSonderの売上にマイナスの影響を与えた。これまでの物件の稼働率は80%以上だったが、40%台に低下したのだ。Davidsonは価格を引き下げ、稼働率が低い2000物件を削除し、全体の3分の1にあたる400人の社員に一時帰休を通達した。その結果、競合のホームレンタルのStay Alfredが事業を終了し、エアビーアンドビーが支援するLyricも苦戦する中で、Sonderの稼働率はパンデミック前の80%にまで回復した。